社長の性格で節税策は変わる|自分に合う型を選んで手残りを増やすコツ

同じ節税策なのに、続く社長と挫折する社長がいる
節税は期首の設計が9割であり、ざっくりとした計画を持って走りながら調整していくことが大切です。ところが、まったく同じ計画術を学び、まったく同じ節税策に取り組んでも、成果を出し続けられる社長と、途中で挫折してしまう社長とに、くっきりと分かれてしまいます。
その差は、決して知識量や能力の違いではありません。
長年にわたって多くの社長を見てきた私がたどり着いた結論は、社長の性格と節税策の「相性」が、成否を分けているということです。世の中にあふれる節税情報を闇雲に試した結果、税金は減ったのに、現金がそれ以上に減ってしまう。こうした失敗の背景には、自分の性格に合わない型に手を出してしまうという、見えにくい落とし穴があります。
あなたは、これまで「良い」と言われた節税策を試して、なぜか長続きしなかった経験はないでしょうか。もしあるなら、それは意志の弱さではなく、性格との相性が悪かっただけかもしれません。
節税には3つの型があり、それぞれに向き不向きがある
節税には、大きく分けて3つの型があります。
1つ目は、税額控除や非課税枠といった仕組みを使う「制度を使う節税」です。
2つ目は、将来の利益につながる支出を先に行う「経費を使う節税」です。
3つ目は、利益の配分を最適化して納税額を抑える「テクニックを使う節税」です。
そして、この3つの型には、それぞれ相性の良い性格と、相性の悪い性格があります。自分の性格を知ることは、無理なく続けられる節税アプローチを選ぶための、とても実用的な道具になります。難しいスキームを覚える前に、まず自分の性格を知る。これが遠回りのようでいて、いちばんの近道になるのです。
「ビッグファイブ」で自分の性格を知る
性格を客観的に捉える物差しとして、私は心理学で広く使われている「ビッグファイブ」をおすすめしています。これは人の性格を、5つの軸で捉える考え方です。
新しいもの好きの度合いを示す開放性、コツコツ計画する度合いを示す誠実性、人付き合いの度合いを示す外向性、思いやりの度合いを示す協調性、そして不安の感じやすさを示す神経症傾向。この5つです。WEBで無料診断できますので、興味のある方はぜひ一度試してみてください。
ここで大切なのは、どの性格にも良し悪しはなく、それぞれに強みと、陥りやすい罠があるだけだということです。やるべきことは、自分の強みを活かせる型を選び、弱みをカバーするルールを自分に課すこと。これに尽きます。
なお、性格によって相性の良い型は変わっても、実行するかどうかを決める判断軸は、ただ1つだけです。それは「その節税策で、手元に残るお金は本当に増えるのか」という問いです。性格はあくまで、自分が無理なく続けられる節税の入り口を見つけるためのヒントにすぎません。
性格タイプ別に見る、相性の良い節税と陥りやすい罠
では、具体的にどのような性格が、どの型と相性が良いのでしょうか。代表的なタイプを順番に見ていきましょう。自分に近いと感じるところを探しながら読んでみてください。
新しいもの好きで、アイデア豊富な社長
複数の打ち手を組み合わせて未来の利益を描く「経費を使う節税」と相性が良いタイプです。発想の柔らかさが、そのまま投資の幅広さにつながります。一方で、SNSの刺激的な節税情報に次々と飛びついてしまう浮気性には注意が必要です。手を広げすぎる前に、いったん立ち止まって判断軸に当てる習慣を持つとよいでしょう。
変化を好まない、安定志向の社長
毎年同じリズムで回せる「制度を使う節税」の安定感が、大きな武器になります。決めた仕組みを淡々と続けられる力は、それ自体が強みです。ただし、古い知識のまま動いてしまい、本来使えるはずの制度を取り逃すという機会損失に陥りがちです。年に一度は最新の制度を棚卸しする時間を取ってみてください。
几帳面で、計画を立てるのが好きな社長
書類整備や事前申請が要となる制度型の節税で、人一倍確実に成果を出せるタイプです。準備の丁寧さが、そのまま結果の確実さに変わります。気をつけたいのは、完璧を求めるあまり決断が遅れてしまうこと。「8割そろったら動く」といった、自分なりの締め切りを先に決めておくと安心です。
人付き合いが好きで、社交的な社長
人脈づくりがそのまま種まきになる「経費を使う節税」に強みがあります。出会いを事業の機会に変えていく力は、なかなか真似できないものです。ただし、楽しいだけの会食を投資と取り違えてしまいやすい点には注意が必要です。その支出は本当に未来の売上につながるのか、その都度たしかめる癖をつけましょう。
家族や仲間を大切にする社長
所得を家族へ分散する、いわゆる所得の帰属をずらすテクニックに興味が引かれがちなタイプです。家族で力を合わせる発想は、それ自体は自然なものです。しかし、実態のない節税策は税務調査で否認されてしまいます。家族が実際にどんな仕事をしているのか、その対価として妥当な金額か。ここをきちんと説明できる形に整えることが欠かせません。
不安を感じやすい、心配性の社長
否認リスクのほぼない制度型の安心してできる節税だけに絞ることで、夜ぐっすり眠れる節税を実現できます。慎重さは、長く続けるうえではむしろ強みになります。背伸びをして高度な手法に手を出すよりも、確実な型を着実に積み重ねるほうが、あなたには合っているはずです。
細かい作業が苦手な、おおざっぱな社長
細かさが弱みになりそうに見えますが、心配はいりません。制度型の節税の中から、一度設定すれば自動で続く仕組みづくりを税理士に任せてしまえば、おおざっぱさは弱みではなくなります。仕組みに任せられるところは任せて、自分は本業に集中する。それも立派な戦略です。
リスクを恐れない、肝の据わった社長
普通の社長が怖くて踏み込めないテクニック型で、大きく差をつけられるタイプです。度胸は、たしかに一つの才能です。ただし、自社の体力を超えた設計に暴走しないよう、定期的に立ち止まる仕組みが欠かせません。第三者である税理士に「この設計は会社の体力に見合っているか」とブレーキ役を頼んでおくと、安心して攻めることができます。
まとめ:節税の入り口は、まず自分を知ることから
節税の入り口は、難しいスキームを覚えることでも、他社の成功事例をそのまま真似ることでもありません。まず自分自身を知ること。これが、来期以降の通帳残高を増やすための、確かな第一歩になります。あなたは、自分がどのタイプに近いと感じたでしょうか。
ひとり社長の節税は、完璧を目指す必要はありません。自分らしいやり方で、一つずつ着実に積み上げていく。それが結果として、最も多くのお金を会社に残す近道になります。まずは自分の性格に合った型を1つ選び、そこから無理のないペースで始めてみてください。


