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客単価×リピート率=安定利益!利益体質を強化する税金対策とは

売上を伸ばすことに必死になっていませんか?
でも大事なのは『利益』。売上が増えても、利益が出なければお金は残りません。
今回は、リピーターと客単価をキーワードにした利益体質の作り方、そしてその延長にある節税の考え方をお伝えします。

 


売上の公式は「客数×客単価×リピート数」

意外と知られていませんが、売上はこの3つの掛け算で成り立っています。
多くの経営者が「新規客を増やす」ことに集中しがちですが、それには広告費や人手など、かなりのコストがかかります。

一方、既存のお客様に何度も買ってもらったり、1回あたりの購入額を上げてもらう方が、実は費用対効果は高いのです。ここに着目することが、利益率の高い経営への第一歩です。

 


客単価を上げる具体策

  1. セット販売やバンドル:関連商品をまとめて販売

  2. 上位グレードの提案:プレミアム版、限定版など

  3. オプション追加:追加サービスやアフターサポート

「ついで買い」や「どうせならいいものを」という気持ちを引き出す設計がポイントです。これにより、無理なく客単価を引き上げることができます。

 


リピートを増やす3つのリピートタイプ

  1. 同経験のリピート:同じ用途で繰り返し購入(例:定期的な掃除代行)

  2. 異経験のリピート:異なる用途で再購入(例:自宅用→贈答用)

  3. 時系列のリピート:段階的な関連商品提案(例:新築→家具→メンテナンス)

これらの視点を持つことで、単発の取引を長期的な関係へと育てていくことができます。

 


利益体質と節税の関係

リピートと客単価の向上によって、安定して利益が出るようになれば、会社は「先を見据えた節税」が可能になります。

  • 定期収入があれば、資金繰りに余裕が出る

  • 利益が安定すれば、毎年同じ時期に節税対策を組みやすい

  • 長期顧客が増えれば、売上予測も立てやすく、計画的に経費を使える

つまり、税金対策を「事後対応」ではなく「事前戦略」に変えることができるのです。

 


今日からできる利益体質アクション

  1. 現在の客単価とリピート率を数値化する

  2. セット商品や上位グレードの導入を検討する

  3. クーポンやメルマガでリピート促進を図る

  4. 年間売上予測を立て、それに基づいた節税計画を立てる

  5. 税理士と一緒に「利益が出る前提」の節税戦略を構築する

 


まとめ:利益を設計すれば、節税はもっと戦略的にできる

客単価とリピート数は、経営を根本から支える二本柱です。そして、この二つを強化すればするほど、安定した利益が生まれ、節税の選択肢も広がります。

「売上を追う」から「利益を設計する」へ。これが、これからの中小企業経営のキーワードです。

利益を出せば、税金の話も「守り」から「攻め」へと変わります。
今日から、顧客との関係性を強化し、価値ある商品・サービスを提供する仕組みづくりを始めてみませんか?

 

 

安売りの落とし穴と『価値ある価格』の設計〜価格戦略と節税の深い関係

中小企業がついやってしまいがちな「安売り」。
売上アップを狙った戦略のはずが、逆に会社を苦しめているかもしれません。今回は、『安売りの落とし穴』と、手元にお金を残すための『価値ある価格戦略』について、税理士の視点からお伝えします。

 


なぜ中小企業は「安く売る」方向に走ってしまうのか?

「お客様が来ないのは、価格が高いからだ」「値下げすれば売れるはず」——そう考えるのは自然な流れかもしれません。ですが、安売りはまさに諸刃の剣。薄利多売は体力勝負。大企業のように資本力がない中小企業がこの道を選ぶと、体力を消耗し続けるだけになりかねません。

特に注意したいのが「価格競争に巻き込まれる」という状態。他社と同じ土俵で戦ってしまうと、どこかで無理が生じます。売上が上がっても、利益が削られ、結局お金が残らないというジレンマに陥ります。

 


「安売り」と「値下げ」は違う

一見同じように見える「安売り」と「値下げ」ですが、本質的には違います。

  • 安売り:理由が説明できないまま価格を下げる。利益率は著しく悪化。

  • 値下げ:明確な理由があり、納得感をもって実施する。たとえば、大量仕入れによるコストダウンや、季節商品の在庫処分など。

お客様に「納得感」のある価格を提示できれば、値下げでも信頼を得ることが可能です。逆に、理由のない安売りはブランド価値を下げ、結果として価格ではなく「安さ」だけを求める顧客ばかりを集めてしまいます。

 


「高いのに売れる」商品設計とは?

価格は価値の裏付けがあって初めて成立します。では、「高くても売れる」商品とはどんなものか?答えはシンプルです。

モノ+サービス=体験という形にすることです。

たとえば、以下のような施策が考えられます:

  • 飲食店:料理+演出(記念日プランなど)

  • アパレル:スーツ+パーソナルスタイリング

  • 士業:手続き+相談+継続的なフォロー

価格が高いほど、サービスの質や満足度が重要になります。つまり、「単なる商品販売」ではなく、「お客様が得られる未来」までパッケージングして提案する必要があるのです。

 


利益率と節税の密接な関係

価格を上げることに成功すれば、当然ながら粗利率も上がります。そしてこの「粗利」がしっかり確保できることで、初めて効果的な節税策が実行できるようになります。

利益が出なければ節税のしようがありません。だからこそ、まずは価格戦略の見直しが最優先。特に粗利率が高い商品に経営資源を集中させることで、利益とキャッシュが確実に残るようになります。

その上で行う節税策——たとえば、小規模企業共済や中小企業倒産防止共済、役員退職金の積立などは、どれも「利益が出ているからこそ活きる」戦略です。

 


「松竹梅の法則」と価格の選択肢

人は3つの選択肢があると、真ん中を選びやすいという心理があります。これをうまく利用したのが「松竹梅の法則」。

  • 梅:最低限の商品(価格は安め)

  • 竹:標準的な商品(中価格帯)

  • 松:高付加価値商品(高価格帯)

この構造を作ることで、「どうせなら良いものを」という心理が働き、結果的に高利益商品(松)が売れやすくなります。

 


今日からできる「価値ある価格戦略」のアクション

  1. 現在の主力商品の粗利率を再確認する

  2. 顧客が求めている「体験」や「未来」を可視化する

  3. サービスをパッケージ化して単価を上げる

  4. 価格帯に幅を持たせて「松竹梅」の選択肢を用意する

  5. 値下げではなく、「価値アップ」で勝負する

 


まとめ:価格戦略は利益と節税の根幹

価格設定は、単なる数字合わせではありません。それは、「誰に何をどう届けるか」という事業の根幹そのものです。

安さで勝負するのではなく、「価値」で選ばれる会社になること。利益が出れば、節税の余地も広がり、経営の自由度は確実に高まります。

まずは、自社の商品やサービスが「なぜこの価格なのか?」を見直してみてください。きっと、そこに価格以上の価値を提供するヒントが眠っているはずです。

 

 

利益構造の見直しが節税の第一歩〜売上至上主義から脱却する方法

中小企業の経営者の皆さまへ。
「売上は伸びているのに、なぜか手元にお金が残らない…」そんな悩みをお持ちではありませんか?
実はこの状態、原因は明確です。「利益構造」と「節税戦略」に目を向けることができれば、驚くほど経営はラクになります。
今回はその第一歩として、『利益構造の見直し』がいかに節税に繋がるのかを解説していきます。

 


なぜ売上が伸びてもお金が残らないのか?

売上が増えているのに、通帳の残高は一向に増えない——これは多くの中小企業が経験する典型的な状態です。その理由は単純で、「利益が出ていない」か「利益が出ても税金や経費で消えている」かのどちらかです。多くの経営者が売上を目標にしがちですが、実際に残るのは「利益」であり、それがなければ会社の成長も安定もありません。

 


「利益構造」とは何か?

利益構造とは、ざっくり言えば「売上−原価−経費=利益」の関係のことです。
しかし、これは単なる数字の話ではありません。「誰に」「何を」「どのように」売るかという、ビジネスモデルそのものを意味します。客単価や販売方法、仕入れ方法、固定費の比率など、すべてが利益構造に影響を与えます。

 


中小企業が陥りやすい利益構造の落とし穴

  1. 安売りによる薄利多売

  2. 固定費の過剰(人件費・店舗家賃など)

  3. 回収の遅れによる資金ショート

  4. 非効率な在庫・仕入れ体制

これらはどれも「売れているのに儲からない」状態を生み出します。

 


利益を生みやすいビジネスモデルに共通する視点

  • 客単価が高い or 継続課金モデル

  • 無在庫やデジタル商品など、原価が低い

  • 人に依存しない、仕組み化された業務

  • 入金までが早く、前金制も導入されている

このような構造にすると、同じ売上でも利益率が高く、かつキャッシュフローも良くなります。

 


利益構造を整えることが節税にどう繋がるのか?

節税というと「経費を増やす」ことを想像しがちですが、そもそも利益が出ていなければ節税する必要もありません。本質的な節税は、"利益をしっかり出した上で、その利益の使い方を工夫すること"です。

利益構造が整っていれば、無理に経費を増やさずとも、計画的に設備投資や福利厚生、退職金準備など税金がコントロールしやすくなります。

 


今日からできる利益構造改善アクションリスト

  1. 利益率の高い商品を特定し、販売に集中する

  2. 毎月の固定費をリスト化し、削減できるものを洗い出す

  3. 顧客単価・リピート率の高いお客様に絞った販促を行う

  4. 無理な売上目標ではなく、「利益目標」を立てる

  5. 前金制、月額課金、デジタル商品などを検討する

 


まとめ

「売上を増やせば利益が増える」は、残念ながら中小企業には当てはまりません。
大切なのは「利益構造を整える」こと。そして、そのうえで「節税戦略」を立てることです。

利益がしっかり残る体質になれば、節税も投資も自由度が増し、経営が面白くなります。私自身、数多くの経営者の方々と向き合ってきた経験から断言できます。売上ではなく、利益とキャッシュを残すための戦略を今日から始めていきましょう。

どんな小さなことからでも構いません。まずは、現状の利益構造を「見える化」するところからスタートです。

 

 

会社に現金を残すための“攻めと守り”の節税・資金戦略

 

今回は、多くの経営者様から寄せられる悩みである「売上は増えているのに、なぜか手元にお金が残らない」という問題について、私自身の実務経験と視点を交えながら、その原因と解決策を掘り下げてお話しさせていただきます。

結論から申し上げますと、この問題は「利益構造の見えにくさ」と「お金を残すための節税戦略の不在」が原因です。適切な対策を講じれば、売上とともに手元資金も増やし、会社の成長に資する資金繰りを実現することが可能です。

 


1. 「売上が増えたのにお金がない」の本当の理由

経営者の多くは、「売上が上がれば利益が増えるはず」「利益が出ればお金が残るはず」と考えています。もちろん、理屈ではその通りです。しかし現実は違います。実際には、売上の増加に伴って仕入れ、人件費、外注費、運転資金などの支出が先行することが多く、結果として手元資金が減ってしまうという現象が起こります。これを「増加運転資金」と呼ぶことがあります。

また、利益が出ていても、税金の支払いによって一気にキャッシュが減ってしまうこともあります。特に、消費税・法人税・住民税などの支払い時期は資金繰りを圧迫します。ですから、「利益=手元資金」ではないという現実をまず理解することが、すべての対策の出発点です。

 


2. 手元資金が少ないと、会社の選択肢が奪われる

資金は、企業の「自由」と「可能性」を広げる力を持っています。逆に言えば、お金がなければビジネスチャンスを逃すリスクが高くなり、突然の危機にも対応できません

理想は「月商の3ヶ月分以上の現預金を保有すること」です。これがあれば、多少のトラブルや取引先の支払い遅延にも慌てず対応でき、成長投資も計画的に行えます。

また、銀行にとってもこの「手元資金」は非常に重要な判断材料です。銀行は、お金を貸すかどうかを決める際、まず「この会社は月商の何ヶ月分の現預金を持っているか」を見ています。手元資金が多ければ、貸し倒れリスクが低いと判断され、有利な条件での融資を受けられる可能性が高まります

 


3. 利益構造の「見える化」が資金を増やす第一歩

利益構造が見えていないと、「どこに無駄があるのか」「どこを改善すべきか」がわかりません。ここを把握するためには、次のような管理が有効です。

  • 毎月の試算表をしっかり作る:月次で損益がわかる状態をつくることが基本です。

  • 売上・仕入・給与の動きを追う:大きな支出項目の動きに注目し、粗利や人件費比率を把握します。

  • 利益率の低い取引先や商品を洗い出す:「どの取引が儲かっていないのか」を明確にしましょう。

  • 棚卸資産の変動を見逃さない:在庫が増えすぎると、それだけで資金が寝てしまいます。適正在庫を維持することが重要です。

このようにして、「利益の出る構造」「お金が残る体質」に近づけていくことが可能になります。

 


4. 節税=お金を減らすではなく、残す工夫

ここで誤解していただきたくないのは、「節税=税金をゼロにすること」ではありません。
むしろ大切なのは、税金を抑えつつ、会社にお金を残す仕組みをつくることです。私が顧問先に提案している代表的な節税方法をご紹介します。

 

① 設備投資減税の活用

「中小企業経営強化税制」などを活用し、必要な設備投資をしながら税金を減らす方法です。事業を成長させるための投資が税制上も優遇されるため、積極的に活用すべきです。

 

② 人件費増加による税額控除

「賃上げ促進税制」では、給与を一定額以上増加させると、法人税の税額控除が受けられます。従業員のモチベーションアップと節税を同時に狙える戦略です。

 

③ 借り上げ社宅制度の導入

経営者や従業員の住居を会社契約の社宅とすることで、家賃が経費計上可能になります。個人の課税を抑えつつ、会社の法人税も削減できる王道の節税策です。


④ 出張旅費規程の整備

出張時に定額の手当(日当)を支給することで、非課税で個人の手取りが増え、会社は全額を経費にできます。旅費規程の整備がポイントです。

 


5. 財務体質を整えることが「お金を残す」近道

節税と並行して、財務体質そのものを改善することも欠かせません。以下のポイントを意識してください。

 

・短期借入金を長期に切り替える

短期の資金は返済負担が大きいため、設備投資や大口仕入に使うなら長期借入に切り替え、月々の返済を抑えることで手元資金が守られます。

 

・役員貸付金や仮払金の整理

これらは銀行から見ると「会社と個人の区別が曖昧」と判断されがちです。財務の透明性を確保するためにも、帳簿上のクリーンアップが必要です。

 

・不採算事業や過剰経費の見直し

赤字事業や無駄な支出をそのままにしていると、せっかくの利益がどんどん消えていきます。特に役員報酬や交際費は、バランスを取らないと銀行からの信用を損なう原因にもなります

 

・前向きな資金調達の姿勢

資金が不足していることを恥ずかしく感じる必要はありません。売上増加に伴う「増加運転資金」のための借入であれば、銀行も前向きに対応してくれます。資金使途を明確にし、誠実な姿勢で交渉することが大切です。

 


6. 「お金が残る会社」になるための好循環

最後に、私が顧問先様と実践している「お金が残る会社」になるための流れを紹介します。

  1. 利益構造を見える化し、試算表で経営状況を把握する

  2. 無駄な経費を削減し、利益をしっかり出す

  3. その利益を基に、計画的に資金を調達する

  4. 借りた資金で成長投資を行い、さらに利益を生み出す

  5. 投資減税などを活用し、納税をコントロールする

  6. 結果として手元資金が増え、会社の体力が強くなる

このサイクルを回すことが、中小企業が継続的に成長するための鍵だと私は考えています。

 


中小企業の経営は、日々の資金繰り、雇用、売上、そして納税など、実に多くの要素を同時に考えなければなりません。しかし、「お金を残す力」さえあれば、それらを乗り越える選択肢が大きく広がります。

そのためには、経営者ご自身が数字を正しく理解し、主体的に経営判断を下していく必要があります。私たち税理士は、その数字の裏にあるリスクやチャンスを読み解き、戦略を立てるお手伝いをしています。

ぜひ、税理士を「書類をつくる人」ではなく、「経営をサポートするパートナー」としてご活用ください。

 

 

 

なぜ売上が増えてもお金が残らないのか? 新規顧客獲得と節税戦略をリンクさせて考える
 

今回は、「売上は伸びているのに、手元にお金が残らない」というお悩みを抱えている中小企業の経営者の方に向けた記事です。

このテーマにおいて、私がお伝えしたいのは、「売上」「利益構造」「節税戦略」「新規顧客開拓」は、すべてがつながっているということです。
売上を増やすことばかりに目が行きがちですが、それだけでは会社にお金は残りません

加えて、顧客が商品やサービスを購入する際の3ステップ(想起・比較・自己投映)を正しく理解し活用することで、より効果的な集客と、売上・利益の両立が可能になります。

 


1. 売上を増やしてもお金が残らない理由

まず、根本的な話をします。
中小企業の経営者がよく陥るのが、「売上さえ伸ばせば会社はうまくいく」という思考です。

でも実際には、売上が上がっても、以下のようなことが起きていませんか?

  • 原価や外注費、人件費も比例して増えた

  • 事業規模を広げたことで間接コストも増えた

  • 設備投資や広告費でキャッシュが流出した

  • 税金が思った以上にかかってしまった

その結果、「利益は出てるのに、通帳残高はスカスカ」という現象が起こります。

これを防ぐには、利益構造を見直し、計画的な節税と手元資金の確保が不可欠です。
さらに、これは単なるコストカットや節税テクニックではなく、新規開拓のプロセスにも密接に関係しているのです。

 


2. 「想起」の段階で有効な自己開示

想起とは、お客さまが「どこで買おうかな」と思ったときに、頭に浮かぶ選択肢に自社が入っているかどうかという話です。

ここで重要なのは、「覚えてもらう工夫」。そして、その方法として“ギャップ”の演出が効果的です。

税理士で例えれば以下のような発信です。

  • 「税理士ですが、昔バンドマンでした」

  • 「節税のプロですが、貯金はありません」

こんな投稿を繰り返していると、「なんか記憶に残る税理士」として、SNSやセミナーで見かけたときに思い出してもらえる確率が上がります

これを御社の商品やサービスに置き換えましょう。

例えば、ある商品を提案するとき、
「こんなにすごいんですよ!」と押すよりも、
「実はこういう苦労がありましたが、ようやくここまで来ました」と伝えることで、強み+自己開示=売りに変わります。

そしてこれは、単なるPRではありません。
この“想起”のタイミングで記憶に残れば、競合との価格競争に巻き込まれずに済む=利益が守られるのです。

 


3. 「比較」の段階で共感と信頼を生むストーリーへ

 

お客様の頭の中でいくつかの選択肢が浮かんだあと、次に起きるのが「比較」です。

このとき、多くの経営者がついやってしまうのが「うちは他より安い」「早い」「便利」といった打ち出し方。
でも、これだけだと価格競争に巻き込まれ、結果的に利益が削られます
しかも、そういうお客様は「もっと安いところ」を見つけたら、すぐに離れていってしまうことも多いのです。

では、どうしたらいいか?

それは、共感で選ばれる会社になることです。

今のお客様は、「誰から買うか」「どんな想いの会社なのか」を重視しています。
商品やサービスに対する
価値観や姿勢に共感できるかどうか
が、判断基準になってきているのです。

 

商品そのものに差がない時代だからこそ、「会社の想い」「苦労と工夫のストーリー」が、信頼をつくります。

たとえば、次のような話はどうでしょうか。

  • 地元で30年商売を続けてきた理由

  • 苦しい時期に社員と乗り越えたエピソード

  • 社員の家族のために整えた働きやすい環境

これらは、どんな広告コピーよりも人の心を動かします

 


4. 「自己投映」=未来のお金の流れを見せる

そして最後の段階が、「自己投映」。
これは、お客さまが商品やサービスを買った後の未来をイメージできるかどうかです。

多くの企業がここをサボります。
でも実はここが、購入率・受注率を最も左右するポイントです。

たとえば私が節税提案をするときには、次のことを伝えます。

  • いつ、どれくらい税金が減るのか?

  • 手元にいくら現金が残るのか?

  • その分をどんな目的に使えるのか?

  • その後、利益はどう積み上がっていくのか?

  • 解約や見直しの柔軟性はあるのか?

節税策を実行した後の未来を見せることで、お客さまは「なるほど、そういう未来が待ってるんだな」と安心します。

御社のビジネスにも、「その商品を買ったら、どういう未来が得られるのか」をきちんと設計・提示することが求められます。

これは節税と同じです。
節税は、単に税金を減らすことではなく、未来のお金の流れをデザインすることです。

この未来のイメージが湧けば湧くほど、人は前向きに意思決定できます。
逆に、不安が残っているうちは、いくら魅力的な提案でも動いてくれません。

 


5. 売上ではなく「お金が残る仕組み」を設計する

ここまでを整理すると、

  1. 想起:覚えてもらう仕掛け(ギャップ・継続発信)

  2. 比較:価格よりも共感を重視したストーリー設計

  3. 自己投映:購入後の未来を具体的に見せる

これら3つを磨けば、単価を下げなくても選ばれるようになり、結果として利益が残ります

さらに、その利益に対しては、「お金を残す」ことを目的とした節税戦略が必要です。
 

私がご提案する節税の考え方は、次の3点です。

(1)タイミングをデザインする

税金がかかるタイミングをズラすだけで、手元資金は大きく変わります。

 

(2)利益配分を工夫する

利益を誰に配分するかによって、またはどうやって配分するかによって納税額は変わります。

 

(3)節税策は「ストーリー」で考える

中小企業投資促進税制や役員退職金制度などは、単体で考えるのではなく、会社や経営者の未来とリンクさせて設計することで、より満足感のある節税策にすることができます。

 


6. まとめ:まずは「未来を見せる資料」を作ることから始めましょう

このように、節税と新規開拓は、まったく別物のように見えて、お金を増やすという目的の元で深くつながっています。

  • 覚えてもらう情報発信(想起)

  • 価格ではなく共感で選ばれる仕掛け(比較)

  • 購入後の未来を可視化するシナリオ設計(自己投映)

そして、そこから得た利益を守り、増やすのが節税戦略です。
 

中小企業がこのプロセスを回していくには、短期的なテクニックではなく、中期スパンでの仕組み化が必要です

まずは、御社の商品やサービスについて、

「これを買ったら、どんな未来が手に入るのか?」

を言語化・資料化することから始めましょう。

 

そして、その資料を作る過程で、御社の利益構造も見えてきます。
そこに、会社にお金を残すための節税戦略をセットで組み込むことで、「売上が増えてもお金が残らない状態」から、抜け出すことができます。

 

 

お金が残らない原因は、「売上の質」にある

私のところに相談に来る多くの経営者様が、こう言います。

「売上は増えてきているのに、なぜか銀行口座が寂しい」

この状態の原因の多くは、「集客のためにかかっている見えにくいコスト」です。
新規集客のための広告、キャンペーン、SNS運用、イベント、割引券、フライヤーなど……。一つ一つは小さな金額でも、積み重なれば相当な支出です。

そして、そうやって来てもらった新規のお客様が、二度と戻ってこない。これでは、かけた費用を回収する前に終わってしまいます。

つまり、売上が増えているように見えても、それは“水が漏れているバケツ”のようなもの。せっかく注いでも、底から流れ出てしまう。そんな状態になっているのです。

 


「また来たくなるお客様」こそ最大の味方

このような状態を脱するには「安売りをやめて、記憶に残る店になること」が大切です。見方を変えれば、「本当に価値を感じてくれるお客様と関係を築く」ことです。

なぜならリピーターが増えれば増えるほど、売上の“質”が良くなり、資金繰りが安定するからです。

 

1. 広告費や販促費を減らせる

新規のお客様を1人呼び込むのに、どれくらいのお金と時間がかかっているか、把握していますか?

例えば、チラシを5,000枚まいても、来店は数人程度というケースも珍しくありません。来店しても、次は来ない。これでは費用対効果が合いません。

一方で、リピーターは“ゼロ円”でまた来てくれる存在です。追加コストなしに、何度も売上をつくってくれる。これは事業として非常に効率が良く、資金繰りの観点でも非常に助かります。

 

2. 売上の読みやすさ=資金の読みやすさ

リピーターの数が増えると、来店頻度や購入金額がある程度予測できるようになります。これは、経営計画や資金計画を立てる上で非常に重要です。

税理士として資金繰り表を作るときにも、「来月どのくらい売れるか」「仕入れはどのくらいかかるか」「いつ入金されるか」が見えている企業は、財務が強くなります。

リピーターが支えてくれる安定的な売上は、銀行とのやり取りでも安心材料になります。安定して売上がある企業には、金融機関も協力的になります。

 

3. 利益率が下がらない商売ができる

安さだけをウリにしているお店は、少しでも安い競合が出てきた瞬間にお客様を奪われます。その結果、さらに価格を下げ、利益を削る悪循環に陥ってしまいます。

でも、ある特徴や物語で選ばれているお店は違います。お客様は「価格」ではなく、「価値」や「体験」でその店を選びます。

こういった「忘れられないお店」になることで、利益をきちんと確保できるようになります。結果として、税引き後の利益も増え、現金残高も積み上がります。

 


「記憶に残る店づくり」が、資金繰り改善の第一歩

リピーターを増やすには、自分たちのお店が「どんな人に、どんな価値を届ける店なのか」を明確にすることが不可欠です。

情報過多の現代社会において「記憶に残る特徴を持つ店」になることが鍵です。

例えば、

  • 魚にこだわった和食店なら「一匹まるごと焼く魚定食の店」

  • 日本酒専門の居酒屋なら「県外銘柄は一切出さない地元酒オンリーの店」

こうした特徴は、記憶に残りやすく、「あの店、また行きたいな」と思わせる力を持っています。

この記憶こそが、再来店という形でキャッシュフローを生む種になります。

 


銀行は「人気店」ではなく「持続可能な店」を応援する

資金調達の相談を受けるとき、経営者がよく言うのは「最近、お客様も増えて評判が良くて……」という内容です。

もちろんそれも大事ですが、金融機関が見ているのはもっと別の視点です。それは、

  • 長期的に安定して売上があるか

  • 利益が出ているか

  • 無理のない事業計画か

  • オーナーが自分の商売を深く理解しているか

こうした“続けられる力”を見ています。

リピーター戦略を持っている店は、この「続けられる力」が強くなります。未来が見える経営は、金融機関にとって“貸したくなる会社”になるのです。

 


お客様を「絞る」ことが、結果的にお金を生む

リピーターを作るには、「誰に向けて商売しているか」を明確にする必要があります。

万人に受け入れられるような商売は、記憶にも残りにくく、差別化もしにくいものです。

むしろ、「好きな人だけに来てほしい」「この価値をわかる人だけに提供する」というお店の方が、ファンがつきやすくなります。

この“絞る勇気”が、実は最も効果的な資金繰り改善策の一つなのです。

 


リピーターづくりは、最高の資金戦略になる

繰り返しになりますが、「売上=現金残高」ではありません。

売上があっても、集客にかかるコストが高く、利益が圧迫されていれば、キャッシュは残りません。

一方、リピーターを基盤にした売上は、広告費が不要なうえ、安定しやすく、値引きにも頼らないため利益率も高くなります。

資金調達の面でも、「安定した利益」「見通しの立つ経営」は非常に評価されやすい要素です。

今後、設備投資や人材採用、事業拡大を見据える経営者にとって、記憶に残るお店づくりは最強の資金戦略となるのです。

 


まとめ:お金が残る商売には、「熱量と覚悟」がある

資金繰りに悩んでいる企業の多くは、売上そのものよりも、「売上の質」が問題になっているケースが多くあります。

リピーター戦略は、広告費や割引に頼らない、高効率な商売を可能にします。それは、ただのテクニックではなく、「何のためにこの商売をしているのか」「誰のために価値を提供したいのか」という、事業の根幹と深く関わっています。

理念とストーリーがある商売には、人が集まり、お金も残ります。そんな商売には、支援者も、ファンも、銀行も自然と集まってきます。

 

 

売上が増えてもお金が残らない…その原因は、節税の仕方が間違っているから?

 

中小企業の経営者の方々から、よくこんなお悩みを聞きます。

「売上は伸びてるのに、なぜか手元にお金が残らない」

この悩み、実はとても多いです。

一見、黒字経営でも、通帳の残高が増えない。頑張って売って働いても、現金がない。そこには「利益の構造」と「節税の戦略」に原因があります。

今日は、融資を受けやすくなる財務改善の考え方とあわせて、「どうやって利益を残し、節税をしながら会社にお金を残すか」について、税理士の視点から分かりやすく解説します。

 


1. 売上が増えても手元にお金が残らない理由

「利益が出ていない」からではありません。

たいていの場合、利益は出ています。でも、「お金」が残らない。

その主な理由は次の通りです。

  • 売掛金(ツケ)の増加:売っても現金がすぐ入らない

  • 過剰在庫:売れ残りにお金が寝ている

  • 設備投資:減価償却でしか経費化されず、現金は先に出ていく

  • 借入金の返済:元金部分は経費にならないのに、現金は出ていく

  • 法人税の支払い:利益に対してドンと課税される

つまり、「黒字でも現金不足」というのは、当たり前の構造なんです。

 


2. 財務体質を強くする第一歩は、"お金を残す"こと

会社の体力=手元資金です。

経営の選択肢も、融資の可能性も、最終的には「いま現金があるかどうか」で決まります。

まず目指すべきは、月商3か月分の現金を持つこと。これができれば、資金繰りの不安が一気に減ります。

そのために必要なのが、

  • 利益をしっかり確保すること

  • 無駄な節税をしないこと

  • 銀行から適正な融資を受けること

 


3. 税金を減らしすぎると、かえってお金が残らない?

節税というと、

  • 保険に入る

  • 車を買う

  • 社員旅行に行く

というように、「利益を減らす=税金を減らす」方法が一般的です。

ですが、ここに落とし穴があります。

税金は減るけど、現金も減っているということです。

特に、保険や高額備品などは、現金が大きく減ります。

税金を抑えても、通帳にお金がなければ意味がありません。

節税の目的は、「税金を減らすこと」ではなく、「会社にお金を残すこと」。これを忘れてはいけません。

 


4. 正しい節税戦略とは?

私がおすすめするのは、以下の3ステップです。

 

ステップ1:利益の可視化

まず、「利益がいくら出ていて、税金がどれくらいかかりそうか」を月次で見える化すること。

税理士に任せきりにせず、自社で「今月はこれくらい儲かってる」という感覚を持つことが重要です。

 

ステップ2:意味のある節税を選ぶ

利益が出そうな年は、

  • 設備投資(生産性UPや業務効率化)

  • 教育・研修・福利厚生(社員のモチベーションUP)

  • 退職金の積立(役員の将来資金)

など、「将来の利益や安心」に繋がる支出を選びましょう。

"使い切る"のではなく、"投資する"という発想がカギです。

 

ステップ3:融資と節税のバランス

融資を受けたいなら、「利益が出ている」ことを決算で示す必要があります。

節税しすぎて赤字になれば、融資は通りません。

逆に、適正な利益を出して節税しつつ、決算書の見栄えを良くすることで、銀行からの信頼が高まります。

決算書で特に見られるのは、

  • 営業利益、経常利益が黒字か

  • 現預金がどれくらいあるか

  • 借入金が減っているか

です。

利益を確保してこそ、財務改善が進み、融資も受けやすくなります。

 


5. 節税と財務改善を両立させる具体策

では、どうすれば節税と財務改善を両立できるか?

具体的な方法を紹介します。

 

1. 減価償却の計画的活用

減価償却費は、現金を出さずに計上できる経費です。

「今年は利益が出そう」という年は、可能な範囲で多めに償却して税金を抑える。

逆に利益が減りそうなら、償却を最小限にして利益を維持する。

税金と利益のバランスを自社でコントロールするイメージです。

 

2. 借入金とキャッシュの使い分け

節税とキャッシュ確保の両立のためには、借入を活用することも大事です。

例えば、必要な投資は借入で行い、手元資金は運転資金として確保しておく。

銀行評価も高まり、いざという時の備えにもなります。

 

3. 納税予測とキャッシュフロー計画

決算2〜3か月前には、「税金がいくらになるか」を試算して、

  • 納税に備える

  • 節税余地を見極める

といった準備を行いましょう。

「納税してもお金が残る状態」を計画することが重要です。

 


6. 税理士と連携して「会社にお金が残る経営」へ

節税の知識だけでは、会社にお金は残りません。

  • 数字の見える化

  • 財務改善の視点

  • 銀行とのつきあい方

この3つを総合的に見られる税理士と組むことで、売上が伸びても「通帳にお金が増えない」という悩みから卒業できます。

 


まとめ:節税は「お金を残す」ための手段にすぎない

  • 売上が上がってもお金が残らないのは、利益構造と資金の流れが見えていないから。

  • 節税は単なるコストカットではなく、未来に繋がる投資にすべき。

  • 銀行評価を高め、融資を受けやすくするには、決算書の見栄えと財務体質がカギ。

  • 月次での数字管理と納税予測で、経営にゆとりが生まれる。

大切なのは、「税金を減らす」ではなく、「会社にお金を残す」ことです。

節税はそのための一つの方法にすぎません。

 

 

「売上が上がってもお金が残らない」中小企業の悩みを解決する鍵は、無形商品と節税の組み合わせ!
 

これまで多くの中小企業の経営を見てきましたが、多く耳にする悩みがこちらです。

「売上はあるのに、なぜかお金が手元に残らないんです……」

この悩み、実は非常に根深く、業種や規模に関係なく、多くの経営者が同じように抱えています。

原因はシンプルです。「利益構造」と「お金を残すための節税戦略」が整っていないからです。

今回は、この課題を解決するために、近年注目されている「無形商品ビジネス」の考え方を使って、実際にどうやって利益率を高め、お金を残していけるのかを解説します。

そしてその上で、節税と資金繰りのポイントを専門家の視点からお伝えしていきます。

 


なぜ「売上が増えてもお金が残らない」のか?

最初に、この典型的な悩みの根本原因を明確にしましょう。

 

原因①:粗利率の低さ

売上は増えても、仕入れや外注費、人件費などの「直接コスト」が高い場合、利益はあまり残りません。たとえば、売上が月1000万円あっても、粗利が10%なら利益は100万円。ここから家賃や水道光熱費、人件費、借入金の返済があると、あっという間に手元資金はゼロです。

 

原因②:設備投資・在庫リスク

製造業や物販業では、在庫や設備への投資が先行します。「売上を上げるために、まず買い付ける」構造では、キャッシュが先に出ていき、後から回収されます。このラグが、資金繰りを圧迫します。

 

原因③:節税の設計ができていない

一時的に利益が出ても、それをうまく税務戦略に活かせていないケースも多いです。節税策はタイミングと戦略が命。利益が出た後に慌てて考えるのでは、遅すぎます。

 


解決策は「無形商品×節税」のビジネスモデル構築

これらの課題を根本から解決する方法として、私がおすすめしているのが「無形商品ビジネスを取り入れた利益構造の見直し」です。

ここでのポイントは、「売上をただ伸ばす」のではなく、「粗利率が高く、固定費も低いビジネスを増やしていく」ことです。

無形商品ビジネスは、まさにその理想形です。たとえば以下のようなものが該当します。

  • 動画講座・セミナーの提供

  • ノウハウ販売(PDFや動画教材)

  • オンライン動画スクール

  • 月額の会員制コミュニティー

共通しているのは、

  • 在庫を持たない

  • 原価がほぼゼロ

  • 一度作れば、何度も売れる(スケール可能)
    という点です。

 


ステップ1:「自分のスキル」で稼ぐことで利益構造の基礎をつくる

まずは自分や社内メンバーのスキルを活かして、小さく始めるのがコツです。例えば、あなたがマーケティングに強ければ「集客のサポート」、職人技を持っていれば「作業のコツ」を教える講座を開くなど。

この段階では、まだ「自分の時間と労力」で稼ぐ形ですが、重要なのはここで得られるお客様の悩みや成功パターンの蓄積です。

つまり、「これをすればお客様が喜ぶ」というノウハウがどんどん溜まっていく。このノウハウが、次のステップの資産になります。

 


ステップ2:「方法論を商品化」して利益率を一気に上げる

ノウハウが溜まったら、次はそれを「形にして売る」段階です。

例えば、

  • 動画講座にして自社サイトで販売

  • 有料のeBookにまとめて販売

  • 月額の会員制コミュニティで提供

ここで大切なのは、一度つくったら「何度でも売れる」ということ。時間や労力を追加しなくても、売上が積み上がっていきます。

粗利率はほぼ100%。しかも在庫も抱えず、資金リスクもゼロに近い。この形に移行できれば、会社全体の利益構造が劇的に変わります。

 


ステップ3:「仲介」へ進めば、ほぼ労働ゼロで利益が残る

さらに次の段階では、自社で育てた人材や外部パートナーを「お客様に紹介してマージンを得る」という形も可能です。

たとえば、自社で動画編集のノウハウを教えた卒業生がいれば、その人材を必要とする企業に紹介し、紹介料をもらう。これができれば、自社が動かなくても利益が出る「真の収益基盤」が完成します。

 


税理士が語る:無形商品ビジネスの節税メリットとは?

無形商品ビジネスには、税務上でも大きなメリットがあります。具体的には、以下のような点です。

 

① 在庫を持たないことで決算の資産計上リスクがない

製品や仕入れを抱えていると、決算時に在庫として資産計上され、原価にならずに利益がかさ上げされることがあります。これが無形商品ならゼロ。

ムダな利益が出ず、税金も最適化できます。

 

② 設備投資が少なく、減価償却に左右されない

工場や機械などの設備がいらないので、減価償却に利益が左右されたり、将来の固定資産税・償却資産税に備える必要もほぼなし。シンプルな経費構造で、節税戦略が立てやすくなります。

 

③ 商品開発費・教育研修費として「経費化」しやすい

たとえば、動画教材をつくる、ノウハウをマニュアル化するなどの費用は、「業務改善のための商品開発費・教育費」として、経費に計上できます。しかも、それらは将来的に売上を生む商品にもなります。

 


節税を意識した無形商品ビジネスのつくり方・運用方法

では、実際に無形商品を取り入れていく際に、どのような視点で節税をしていけばよいのかをまとめます。

 

ポイント1:制作段階で「経費化」を意識する

教材づくりやコンテンツ開発には時間も費用もかかりますが、それは全て経費にできます。自社での人件費も、外注も、コンサル料も対象になります。

ここで重要なのは、「売上が立つ前でも、税務的には経費にできる」ということです。

 

ポイント2:利益が出たら「コンテンツ制作費」「研修費」に配分する

利益が出た年に、無形商品の追加制作や社内研修に充てることで、節税しながら将来の資産を積み上げることができます。

これは一過性の節税ではなく、「未来の売上につながる節税投資」です。

 

ポイント3:役員報酬・退職金と合わせてバランスを見る

無形商品の収益は、労働集約型ビジネスと比べて波が少ないため、税金とキャッシュフローの調整がしやすくなります。

このタイミングで役員報酬の見直しや、将来の退職金積立など、長期的な資産形成にも目を向けることができます。

 


まとめ:無形商品は「利益率を上げ、お金を残す」ための最良の武器

あなたがもし今、「売上を上げてもお金が残らない」と感じているなら、それはあなたの経営能力が足りないからではありません。問題は、ビジネスの構造そのものが、お金を残しにくい形になっているということです。

無形商品ビジネスを取り入れれば、

  • 粗利率が高まり

  • キャッシュフローが改善し

  • 節税の余地が生まれ

  • 経営の自由度が格段に上がります

 

まずは、自社でできる「小さな無形商品」を探すことから始めてみてください。

節税はその延長線上にあります。そしてその先には、「ちゃんと稼ぎ、しっかり残す」経営があります。

 

 

【節税の本質】リピーター戦略と節税は同じ場所にある

中小企業経営者の皆さまへ。

「頑張って売上を上げているのに、なぜかお金が残らない……」そんな疑問や不安を感じたことはありませんか?
私のもとにも、決算を終えたタイミングで「今年も頑張ったのに、結局手元に残ったのはこれだけか……」と肩を落とす社長が数多く相談にいらっしゃいます。

本日は、税理士の立場から「お金を残す経営とは何か」、そしてその裏側にある「節税」と「リピーター戦略」の意外な共通点について、じっくり解説していきます。


 

売上よりも「利益を残す構造」を優先

多くの経営者は、売上が上がれば自然とお金が残ると思いがちです。しかし現実は違います。売上を上げれば上げるほど、仕入れ・人件費・広告費などのコストも比例して増加し、結果として「利益が薄くなる」ケースがよく見られます。

この状況を打開する鍵は、リピーターを前提とした利益構造を築くことです。初回取引で終わってしまう顧客を追い続けていては、常に新規集客のための出費が発生し、体力を削る一方となります。

重要なのは、「このお客様とは、今後も取引を継続できる可能性が高いか?」を判断したうえで集客に投資することです。つまり、未来の収益が読める顧客を選別する視点が欠かせません。


 

リピーターになって頂ける新規顧客を開拓する

売上だけを追い求めて新規顧客を集めると、「イベント目当て」「割引目当て」など、価格やキャンペーンにしか興味のないお客様ばかりになります。これは言い換えれば、「短命な顧客を育てている」状態です。

一方で、たとえ来店や契約の数は少なくとも、価値を理解し、再購入・継続契約の可能性が高いお客様に焦点を当てた新規開拓をすることで、将来の利益は安定し、税金対策も見通しを持って行えるようになります。

節税の基本は、「利益が出ることを前提に戦略を立てる」こと。見込みの立たない売上に依存していては、節税どころか、資金ショートのリスクさえ生まれてしまいます。


 

初回取引の印象が、その後の収益性を決める

リピーターになるかどうかを分ける最大のポイントは「初回取引の体験」です。特に中小企業の場合、初回の印象が「他と変わらない」ものであれば、お客様は次に価格や条件で比較し、より安い選択肢に流れてしまいます。

その結果、単発の売上はあるものの、利益を伴わない「薄利多売型の経営」に陥ります。利益が出ない以上、節税も難しく、どれだけ売っても現金が貯まらない構造が続くのです。

ですから、初回の接点では価格よりも体験価値・接客・ストーリーといった「感情に訴える要素」を重視し、「この店に任せたい」「この会社なら安心」と感じてもらう仕掛けが必要です。こうした体験を提供できれば、価格競争に巻き込まれることなく、高単価でも継続して購入してくれる顧客が生まれます。

そしてこの構造ができれば、余計な値引きや広告費を削減でき、利益率が改善。税引後に手元に残るお金も増えていきます。


 

「お客様の数」を減らす発想が利益と節税を救う

「売上を増やすには、できるだけ多くのお客様に来てもらうことだ」と思っている方も多いかもしれません。ですが、その発想が経営を苦しめている可能性があります。

一度立ち止まって考えてみてください。

  • 多くのお客様に対応するために、追加の人員を雇っていませんか?

  • 配送量が増え、物流費や在庫リスクが膨らんでいませんか?

  • 問い合わせ対応に追われ、本来やるべき改善や営業ができていないのではありませんか?

これらはすべて「固定費の増加」につながります。そして固定費が増えれば増えるほど、利益が出にくくなり、節税の手段も限られてきます。

一方で、本当に価値を理解し、繰り返し購入してくれるお客様に集中することができれば、少人数でも運営可能なスリムな体制を築くことができます。その結果、固定費が抑えられ、利益率が上昇。健全なキャッシュフローが生まれます。

これはまさに「質の経営」です。顧客の数を追うのではなく、「関係性の深い顧客」にフォーカスすることで、節税効果も最大化されていくのです。


 

利益が出たら、健全な節税戦略を設計する

「税金はできるだけ払いたくない」――経営者であれば誰しもそう考えるでしょう。しかし、税金を減らすことを目的にしてしまうと、経営は必ずおかしくなります。

例えば、

  • 不必要な設備投資をして減価償却を作る

  • 利益を減らすために過剰な保険契約をする

  • 法人で購入した資産が実は社長個人のもので税務リスクに発展

といった「目的と手段の逆転」が多発します。

ここで大事なのは、「払ってよい税金」と「抑えるべき税金」の仕分けです。
全てを削るのではなく、未来への投資を意識しながら、適切に利益を残し、節税する。これが最も堅実で持続的なお金の残し方です。

たとえば、

  • 役員報酬と利益の配分を適切に設計する

  • 小規模企業共済やiDeCoで将来の個人資産形成を図る

  • 中小企業投資促進税制の活用で、計画的な設備更新

など、事前準備と計画的な対策があれば、税金を必要以上に払いすぎることなく、キャッシュを残すことができます。


 

数字をコントロールする力こそ経営者の武器

最終的に、経営者が身につけるべきスキルは「売上を増やす力」だけではありません。

  • 利益を残す仕組みを設計する力

  • 数字を読み解き、未来を予測する力

  • 固定費と変動費のバランスを取る力

  • お金の出入りをコントロールする力

これらが合わさってはじめて、「税金をコントロールできる経営」が可能になります。

節税とは単なる経費計上のテクニックではなく、「経営を継続するための財務戦略」であり、リピーター戦略と同じ発想で構築されるべきものなのです。


 

まとめ:利益構造ができれば、節税は“出口戦略”になる

本当に手元にお金を残したいなら、節税ばかりを追い求めるのではなく、まずは利益構造そのものを見直すことから始めましょう。

  1. 売上ではなく「利益が出るお客様」を新規開拓すること

  2. 初回取引でお客様の感情を動かし、リピートへとつなげる仕組みをつくること

  3. 顧客数を絞り、経営リソースを集中することで固定費を下げること

  4. その上で、キャッシュが残る形で税金対策を設計すること

この流れを丁寧に整えていけば、あなたの会社には「健全な利益」と「しっかり残る現金」が生まれます。

節税とは、経営の中で最後に行う“出口戦略”に過ぎません。入り口から構造を設計し直すことで、初めて意味を持つのです。

 

 

 

「売上を減らす勇気」が節税とキャッシュ改善の第一歩?
──手元にお金が残らない中小企業が見直すべき“逆転の経営戦略”

 

「売上が伸びているのに、なぜかお金が残らない」

このような声を経営者から聞くことがよくあります。

決算書上は順調に見える。営業も頑張っている。顧客も増えている。
それなのに、通帳を見て不安になる。「あれ?こんなに頑張ってるのに、なぜ現金がないんだろうか?」

この疑問に対する答えは、意外と単純です。

「売上=利益」ではないし、
「利益=現金」でもないからです。

むしろ多くの場合、「売上を追いかけるほど、会社にお金が残らなくなる」という現象すら起きています。
本記事では、この矛盾の正体を明らかにし、節税とキャッシュフローの観点から“売上ダウンのすすめ”を解説していきます。

 


売上を上げても会社が苦しくなる理由

まず、「売上を増やすと会社が強くなる」という固定観念を一度捨ててみましょう。
なぜなら、売上が増えれば増えるほど、次のような問題が連鎖的に起こるからです。

 

① コストが比例して増える

新規顧客を獲得するには、必ず費用がかかります。広告、営業、人件費、キャンペーン、割引…
多くの中小企業では、新規獲得のために利益以上のコストをかけてしまっています。つまり「売れば売るほど赤字」になっているのです。

 

② 売掛金の回収が遅れる

法人営業やBtoB取引では、納品から入金まで1ヶ月〜3ヶ月かかることが一般的です。売上は立っても現金は入ってこない。
にもかかわらず、仕入や人件費、家賃、税金は先に払わなければなりません。これが資金ショートの大きな原因です。

 

③ 在庫と無駄が積み上がる

売上を追えば、商品も人員も在庫も増やす必要が出てきます。でも、それが過剰になれば、無駄な支出になり、資金を圧迫します。

 


利益を生まない売上にこそ注意せよ

数字としての売上が増えていても、それが「利益」と「現金」に結びついていなければ意味がありません。
むしろ、税金だけが増えて、会社は疲弊していくという最悪のルートに入ってしまいます。

  • 決算で黒字が出たから法人税が上がる

  • 消費税の納税額も増える

  • 節税のために無理な投資をして、ますます現金がなくなる

売上の拡大戦略は、計画的にやらなければ会社を食い潰す「毒」にもなりうるのです。

 


「売上ダウン」は怖くない。むしろ戦略的に使え。

ここでご提案したいのが、「売上を意図的に減らす」という逆転の発想です。
これは、無理をして売りまくらず、会社にとって本当に価値あるお客様に集中するという経営戦略です。

 

◆ 顧客を選ぶ=コストを減らす

「なんでも売ります」「誰でも歓迎です」というスタイルでは、どうしても広く浅いビジネスになります。
そうではなく、「自社の商品・サービスを理解してくれ、リピートしてくれるお客様」に絞っていくことで、営業効率が劇的に向上します。

→ 広告費、無理な納期対応、人員コスト、クレーム対応…
これらが減り、利益率が上がります。

 

◆ 常連顧客は節税にもつながる

顧客が固定化されると、売上の予測が立てやすくなります。これは、節税対策を組みやすくなるという大きなメリットを生みます。

  • 決算前に利益の着地をコントロールしやすい

  • 設備投資や経費のタイミングを計画的にできる

  • 無理な節税支出を減らし、キャッシュを残せる

これは実際に、顧客が安定している会社ほど、節税プランの幅が広くなるという事実からも裏付けられています。

 


「頑張ってるのに現金がない」会社の共通点

税理士として見ていて強く感じるのは、手元資金が残らない企業の共通点です。具体的には:

  • 利益率の低い新規取引を追い続けている

  • 売掛金の回収が遅く、資金が詰まっている

  • 節税のための支出が過剰で、投資が雑になっている

  • 現場が常に疲弊しており、人材が定着しない

これらはすべて、「売上を上げるための無理な拡大」から生じています。

 


売上を「絞る」ことでお金が残る体質へ

経営の目的は「売上を上げること」ではなく、「利益を残すこと」「お金を残すこと」です。
そのためには、以下のような視点の転換が必要です。

従来の発想 これからの発想
売上を伸ばす 利益率を高める
新規顧客を追いかける 常連顧客に集中する
広告で集客 口コミ・紹介で自然に増やす
見た目の黒字を作る 手元現金を最大化する

このように、売上至上主義から脱却し、「絞り込む」「減らす」ことで、会社にとっての余裕と選択肢が生まれます。

 


税務戦略としての「売上コントロール」

最後に、税理士としてお伝えしたい重要な視点があります。

「売上を管理する=税金をコントロールする」

これは非常に大切な考え方です。なぜなら、売上が突発的に伸びると、それに連動して税負担が重くなり、事後対応が困難になるからです。

  • 法人税の増加

  • 消費税の増加

  • 利益が急上昇し、節税策が間に合わない

  • 資金繰りの計画が狂う

  • 役員報酬の設計も調整しにくくなる

こうした混乱を防ぐためにも、「売上を絞って安定させる」という判断は、極めて戦略的な節税アプローチといえます。

 


経営とは、「引く勇気」で未来を守ること

目先の売上、競合との数字競争、銀行や取引先の目…。
多くの経営者が、無意識に「売上を上げなければいけない」と感じているのが現実です。

しかし、本当に大切なのはそこではありません。

  • 誰のために、何を提供し、どう利益を残すか

  • どうやって社員や家族、自分自身を守るか

  • 次の投資や事業承継に向けて、お金をどう残すか

これらの本質に立ち返ることで、経営はより「強く」「しなやかに」なります。

 


まとめ:売上に振り回されず、キャッシュを残す経営へ

・売上を減らすことは、失敗ではない
・むしろ、利益と現金を増やすための戦略的な一手である
・無駄を削り、常連を大切にし、節税の幅を広げる
・そうすることで、手元にお金が残り、次の手が打てる会社になる

中小企業が本当に強くなるために必要なのは、「引き算の経営」です。
その最初の一歩として、あえて「売上を下げる勇気」を持ってみてください。

それは、決して後退ではなく、未来の成長と安定への布石になります。

 

 

 

「5手先の構造」と節税の考え方

日々、たくさんの中小企業経営者の方と接している中で、よくこんなお悩みを聞きます。

「売上はそこそこ伸びてきたんだけど、手元にお金が全然残らないんです…」

この悩み、とてもよく分かります。がむしゃらに頑張って売上を上げたのに、決算が終わってみると法人税がドンときて、利益も残らず、気づけば資金繰りにヒヤヒヤする。こんな悪循環に陥っていませんか?

実はこの問題、単なる経費の使い方や節税テクニックの不足ではなく、ビジネスの「設計」=構造が曖昧なことに原因があるケースが多いのです。

今回は、「5手先までを見据えた構造を持つこと」が、なぜお金を残す力につながるのか。そして、そこに税理士としてどんな節税戦略を組み込めるのか。そんなテーマで解説していきます。

 


なぜ売上が上がってもお金が残らないのか?

まず、根本的な話からいきましょう。

売上が上がったのにお金が残らない理由は、たいてい次の3つです。

  1. 収益構造が単発型になっている

  2. 利益が出る前提で経費を後付けしている

  3. 税金を“事後処理”で対応している

この3つに共通するのは、「行き当たりばったり」になっているという点です。

ビジネスの流れに設計図がないため、次に何が起きるかが読めず、結果として無駄な出費がかさみ、税金もコントロールできず、お金が出ていくばかりになるのです。

 


解決の鍵は「5手先までの構造」を描くこと

では、どうすればこの問題を解決できるのでしょうか。

その答えが、「5手先までの構造を考える」ことです。

これはどういうことかというと、売上を単発で取りにいくのではなく、最初の商品・サービスから始まり、最終的に継続的な売上と利益が残る仕組みまでを設計するということです。

たとえば、次のような流れをイメージしてください。

  1. お試しの低価格サービスを提供

  2. 気に入ってもらえた方へセミナーを案内

  3. セミナー参加者から個別相談に発展

  4. 高単価な講座・プログラムに参加してもらう

  5. 最終的に月額の顧問契約・会員契約につなげる

この流れができると、見込み客を「入口商品」から自然に「継続的な売上」へと育てる導線が完成します。
ここに税理士の立場から節税戦略を組み込めば、ただ売上が増えるだけでなく、手元にお金が残る体質に変えることができるのです。

 


売上構造と節税構造はセットで考える

ビジネス構造を5手先まで設計すると、実は税務の設計も自然と見えてきます。というのも、利益が出るタイミングや支出のタイミングを“自分で調整できる”状態になるからです。

たとえば、こんなケースを考えてみてください。

 

ステップ1:お試し商品の提供

ここでは、まず少額の商品やサービスを提供します。利益は小さくても、広告費や販促費をかけることができる段階です。これはすべて経費として計上可能です。

ポイント:この段階では「利益より信用」を重視し、将来の利益の“準備経費”として節税ができると考えましょう。

 


ステップ2:セミナー・イベント開催

見込み客との接点を作る場です。ここでは、会場代、資料作成費、交通費、広告費などの支出が発生します。これらもすべて経費です。

ポイント:利益を生むためのプロセスであり、売上と経費のバランスを調整する絶好の機会です。黒字を抑えつつ、集客の導線も整えられます。

 


ステップ3:コンサルティングや個別契約へ

ここから本格的に利益が出始めます。このタイミングで法人化を検討する、役員報酬を見直す、外注費を戦略的に使うといった選択肢が出てきます。

ポイント:法人の形や支払い方法を調整して、利益の出方を“自分で管理”することが可能になります。

 


ステップ4:講座やプログラムなど高単価商品

まとまった売上が発生するフェーズ。ここで重要なのは、“事業投資”という名目でしっかりお金を使っていくことです。

たとえば、

  • 自社の教材を制作する

  • 動画配信の設備を導入する

  • 社員研修を実施する

こうした支出は経費になりますし、次の売上をつくる仕掛けにもなります。

ポイント:利益が出やすいステップだからこそ、戦略的な支出で税金をコントロールすることがカギです。

 


ステップ5:会員制・顧問契約で安定化

ここが最終ステップです。安定した月額課金の仕組みができることで、資金繰りの不安がなくなります。

この段階で見えてくるのが、「利益を残しながら税負担を抑える方法」です。

たとえば、

  • 法人保険を活用した節税

  • 退職金制度を作る

  • 福利厚生制度を設計する

これらは、ある程度利益が出るようになってからでないと意味を持ちません。「5手先の構造」があるからこそ、有効に使える手段です。

 


税金は「後から考える」ものではなく「最初に設計する」もの

ここまでの話でお分かりいただけたかと思いますが、節税は“申告の直前に焦って考えるもの”ではありません

税金は、事業の設計段階で決まります。

つまり、「5手先まで見える構造」を持っている経営者は、税務も含めて自分で主導権を持つことができます。逆に言えば、構造が見えていない経営は、税金に振り回され、お金が残らない経営になってしまうのです。

 


まとめ:お金が残るビジネスは、美しく設計されている

売上を増やすことはもちろん大事です。でも、売上を伸ばしてもお金が残らないのでは意味がありません。

大切なのは、「どんな流れでお客様が動いていくか」というビジネスの構造を設計し、その中に節税の仕組みを組み込むことです。

この「構造×節税」の考え方ができると、

  • 毎年の税金に悩まされなくなる

  • 資金繰りの見通しが立つ

  • 利益を残して次の投資ができる

という、**“攻めながら守れる経営”**が実現できます。

 


最後に:あなたのビジネスにも構造を

「なんとなく売れている」
「いつもお金が足りない」
「税金に振り回されている気がする」

こうした不安があるなら、まずは今のビジネスの構造を紙に書き出してみることをおすすめします。

5手先までの流れを見える化し、それに対してどんな経費や税務処理が必要なのかを一緒に考えていくことで、今よりずっと強い経営体質が作れます。

もし、「自社の構造を見直したい」「節税を長期で設計したい」と思ったら、ぜひご相談ください。

税金を減らすことがゴールではありません。
お金を残し、未来を描ける経営にすることが、本当の目的です。

 

その第一歩として、「5手先を読む力」を、ぜひあなたのビジネスに取り入れてみてください。

 

 

節税だけでは危ない?税理士が教える「融資に強くなる財務改善術」

皆様の中には「とにかく節税ができれば会社経営は安泰」とお考えの方も多いのではないでしょうか。しかし、実は節税対策が裏目に出て、融資が受けにくくなるというケースが頻発しています。

本記事では、節税と財務改善のバランスを取りながら、融資を受けやすい企業体質を作るための具体的なノウハウを、銀行の目線や実際の会計のポイントも交えながら分かりやすく解説していきます。

 


節税に潜む落とし穴:「利益を出さない会社」が本当に評価されるのか?

法人税の支払いを少しでも抑えたい。誰もがそう思うのは当然です。実際、税理士に相談される多くの経営者も「どうすれば納税額を減らせるか?」という質問をされます。

しかし、注意が必要なのは、「節税」と「赤字化」は全く違うということです。

  • 保険の全損商品で無理やり利益を消す

  • 少額の資産を無計画に購入し、帳簿上の利益を減らす

  • 実態にそぐわない交際費や福利厚生費を過剰に計上する

こうした「帳簿上の利益を削る」節税は、確かに税金は減るかもしれませんが、銀行の評価が著しく下がるリスクを抱えています。特に、資金調達を必要とする局面では「この会社は本当に返済能力があるのか?」と疑問視されてしまい、融資が通らない、または条件が悪くなるという事態に直面します。

 


銀行は「利益よりもお金」を見ている

企業は黒字でも倒産することがあります。では、なぜ倒産するのか?答えは簡単です。「手元資金が尽きたから」です

実際、銀行の融資担当者が最初にチェックするのは以下の4点です。

  1. 預金残高が月商の何か月分あるか(理想は3か月)

  2. 債務超過でないか

  3. 税金の未納がないか

  4. 直近2期連続赤字ではないか

つまり、見た目の利益だけではなく、キャッシュの流れや安定性を重視しているということです。節税のために、過剰な経費を使い、利益を減らして預金残高まで減らしてしまうと、「財務的に弱い会社」と判断されてしまいます。

 


節税と財務改善は両立できる

ここで、「じゃあ節税はダメなのか?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。大切なのは、節税の方法を選び、財務改善と両立させることです。

たとえば、以下のような節税策は財務にもプラスに働きます。

  • 小規模企業共済の活用:節税効果を得ながら、将来の資金として積み立て可能

  • 倒産防止共済(経営セーフティ共済):損金として処理しつつ、万が一の取引先倒産にも備える

  • 設備投資による投資減税:税制優遇を受けつつ、生産性向上やコスト削減につながる

これらは「一時的にお金が減っても、企業価値が上がる」節税です。単なる帳簿上の利益調整ではなく、将来の成長や安定性につながる使い方であれば、銀行からも高く評価されるのです。

 


銀行が見ている「決算書の改善ポイント」

銀行が決算書をどう見ているのかを理解することは、節税と財務改善を両立させるための第一歩です。

 

【貸借対照表】

  • 現預金残高:月商の3か月分が理想

  • 純資産(自己資本):マイナスなら要注意

  • 仮払金・貸付金・役員貸付金:実質的な不良資産と見なされるため、決算前に整理

  • 減価償却:毎期行っているか。未償却資産が残っていれば評価は下がる

 

【損益計算書】

  • 営業利益・経常利益:どちらも黒字が基本

  • 売上総利益率:製造原価や販管費の分類に注意

  • 特別損失:退職金、新規事業など、単年度で終わる支出は明確に分けて記載

 

【勘定科目明細】

  • 借入金の内訳:銀行ごとの金額、返済予定を明示

  • 役員・株主借入金:他の長期借入金とは分けて表記

  • 資産の内容:不動産や保険、棚卸資産など、評価可能なものは説明をつけておく

こうした情報を銀行が「見たい形」で整理しておくことが、融資成功率を高める大きな要因になります。

 


銀行交渉のポイント:節税の「先」を読ませる

節税が悪いのではありません。問題は、銀行に「将来どうなるか」が伝わらないことです。

そこで有効なのが、以下のようなアピール方法です。

  • 「今期はあえて赤字にしましたが、来期は黒字化見込みです」と説明する

  • 新商品開発、営業戦略、人材投資の方向性を数字と一緒に伝える

  • 資金繰り表を用意し、「資金不足になる時期」と「必要額」を可視化する

  • 「手元資金を厚くしておきたい」という前向きな理由で融資を申し込む

このように、節税後の利益改善や投資戦略を見せることで、銀行に「将来性」と「返済力」を感じてもらうことができます。

 


節税の目的は「投資可能なキャッシュを残すこと」

最終的に、節税の目的は「税金を払わないこと」ではなく、キャッシュを有効に活用することです。

そのためには、次のような財務改善のループが必要です。

  1. 利益を確保する

  2. 節税と投資を両立させる

  3. 銀行評価を上げて、好条件で資金調達する

  4. 借りた資金で差別化・効率化投資を行う

  5. 生産性・売上を向上させ、さらに利益を出す

このループが回り始めると、会社の財務体質は格段に良くなります。

 


リスケや赤字の対応にも「準備がすべて」

とはいえ、事業は常に順風満帆とは限りません。資金繰りが厳しくなった場合には、次のような対応も検討しましょう。

  • 短期借入を長期に組み直す(リファイナンス)

  • 支払手形・割引手形を融資に切り替える

  • 資金が足りないと分かった段階で銀行に早期相談する

  • 次年度の返済分を事前に借りておく(リスケ前の備え)

  • 税金や社会保険料の滞納を絶対にしない

ここでも、正直で戦略的な情報開示が信頼につながります。

 


まとめ:数字に強い経営者こそ、節税も財務改善もうまくいく

節税はあくまで手段です。その先にある資金調達・投資・成長戦略まで見据える視点が必要です。

そのためには、税理士と経営者が一緒に数字を見て、戦略を立てることが欠かせません。節税と同時に、銀行に評価される決算書・財務体質を意識して経営することが、企業の未来を変えていく第一歩です。

「借りやすい会社」「成長できる会社」を目指す皆様にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

 

 

「顧客心理 × 法人税節税」──売上の安定が最強の節税対策である理由

多くの中小企業が法人税の節税を経営戦略の一環として重視しています。もちろん、節税は企業にとって重要な選択肢です。しかし、長年法人税務に携わってきた立場から申し上げたいのは、節税はテクニックではなく、「安定した利益」があってこそ成立するものだということです。

近年注目されているのが、「顧客心理」に基づくビジネス設計です。リピーターを増やし、売上を読みやすくすることで、利益を安定させ、税務戦略にも柔軟に対応できる状態をつくる。これこそが、実務的で本質的な法人税対策といえます。

本記事では、リピーター戦略・顧客心理の考え方と、法人税対策との関係を具体的に解説します。

 


安定した売上なくして節税なし

節税は「利益」が出ているからこそ意味があります。
逆に、利益が出ていなければ節税の話はそもそも成り立ちません。つまり、法人税対策のスタート地点は「売上の安定化」にあります。

 

事業の売上は、以下の3つの要素に分解できます。

  • 客数(新規顧客)

  • 客単価

  • リピート率(継続購入・再契約)

このうち、特にリピート率を高めることが、利益の安定と節税のしやすさにつながります

なぜなら、リピーターが増えることで予測可能な売上構造が生まれ、節税施策を計画的に実行できるようになるからです。

たとえば以下のようなものが代表例です。

  • 役員報酬の最適化

  • 中小企業倒産防止共済による利益圧縮

  • 少額減価償却資産の即時償却

  • 期末賞与の損金算入

  • 設備投資による特別償却や税額控除

  • 退職金積立の準備と損金化

これらはすべて、売上と利益が「読める状態」であってこそ活きる節税策です。

ブレの大きな売上では、節税どころか「利益が出ると思って共済掛金を満額納付したのに、結局赤字だった」というような、資金繰りを悪化させる結果にもなりかねません。

 


リピーター戦略が節税体質をつくる

リピーター戦略には、経営と税務の両面において大きなメリットがあります。主なポイントは次の3つです。

 

① 販促コストの削減 → 経費構造の安定化

新規顧客を獲得するには多くの広告費・営業コストが必要です。ところが、既存顧客へのアプローチはコストが非常に小さく、効率的です。

このことは税務にも大きく関係してきます。経費の圧縮により利益率が高まり、「節税できる利益」が生まれるからです。さらに、売上高が同じでも変動費が減ることで、キャッシュフローが健全化し、納税資金も確保しやすくなります

 

② 離職率の低下 → 人件費の計画的活用

顧客からの「ありがとう」が増えると、社員の承認欲求が満たされ、離職率が下がります。人が辞めなければ教育コスト・採用コストも削減できます。

安定した人件費構造が作れれば、以下のような節税策の実行が容易になります。

  • 賞与支給と損金算入の最適タイミング設計

  • 役職手当や福利厚生の制度化

  • 退職金準備の損金化

一時的なコストではなく、「戦略的な損金」が使えるようになります。

 

③ 経営者の心理的安定 → 税務判断の精度向上

売上が不安定だと、経営者は常に不安を抱えがちです。気分や直感で節税策を選んでしまうケースも少なくありません。

一方、売上が積み上がってくると経営判断にも余裕が生まれ、税理士との協議も冷静に行えるようになります。
たとえば「今期は〇〇万円まで利益を出す方針で、残りはこの設備投資で圧縮する」といった形で、利益の出し方・使い方を戦略的に設計できるようになります。

 


新規開拓に偏ると「帳簿は黒字、現金は赤字」になる

広告や営業で新規顧客を獲得しようとすると、先に費用がかかります。そして売上が後からついてきます。ここにキャッシュフローのズレが生じ、税務的に資金繰りが厳しくなることもあります。

特に注意が必要なのが、次のような費用です。

  • Web制作費(税務上は資産計上の場合あり)

  • 大型広告費(一括で経費化できない場合あり)

  • 看板設置費などの構築物投資

これらは支出しても即時に全額を損金処理できるとは限らず、結果的に「支払いは済んでいるのに、帳簿上は利益が出ている」という状況を招きます。これが、「利益は出ているのに納税資金が足りない」典型パターンです。

リピーター戦略で売上が安定していれば、このようなズレも想定しながら計画的に広告投資を進められます。これは、法人税だけでなく消費税や源泉所得税への対応にも余裕を持たせます。

 


本当に強い会社は「納税できる会社」

私が数多くの企業の決算に関わる中で感じるのは、「節税にこだわりすぎて成長を止めてしまっている会社」が多いということです。

節税は大事ですが、それは「結果」であって「目的」ではありません。
節税のために利益を圧縮しすぎて、銀行融資が受けられなくなったり、従業員の待遇が改善できなかったりすれば、本末転倒です。

逆に、リピーター戦略を活かし、「読みやすい売上」から「戦略的な利益」を生み出す企業は、納税を恐れません。必要な分は納税し、それ以外の部分で適切に節税する。このバランス感覚が、強い会社を作ります。

 


まとめ:安定売上 × 顧客心理が最強の法人税対策

法人税の節税は、帳簿の操作ではなく、事業構造の安定化から始まるべきです。

  • リピーターが増える

  • 売上が予測できる

  • 利益をコントロールできる

  • 適切な節税策が選べる

この一連の流れが整えば、節税だけでなく、「キャッシュが増え、社員が辞めず、金融機関にも信頼される企業体質」が出来上がります。

 

 

リピーターを育てる経営と、役員報酬を活用した節税の知恵

 

ビジネスを継続的に成長させ、安定した収益構造を築くためには、いかにして「顧客との関係性を深めるか」が重要です。特に、リピーターの獲得と維持は、単なる売上確保にとどまらず、経営のあらゆる面に好影響を及ぼします。

また、事業が軌道に乗り、一定の利益が出るようになると、次に考えるべきは「利益をどう使うか」、そして「税負担をどう抑えるか」という視点です。その中でも、役員報酬の適切な設定は、中小企業にとって重要な節税手段となります。

本記事では、リピーター戦略と役員報酬を軸に、「攻め」と「守り」のバランスが取れた経営のあり方について解説していきます。

 


リピーター戦略が企業の土台をつくる

まず最初に明確にしておきたいのは、新規顧客ばかりを追い続ける経営は、「穴の空いたバケツ」に水を注ぎ続けるようなものだということです。広告費や人件費をかけて集客しても、その後の関係構築ができなければ、継続的な収益にはつながりません。

実際、既存顧客を維持するコストは、新規顧客を獲得するコストの5〜16倍にもなるとされています。つまり、同じコストをかけるのであれば、リピーター育成に注力するほうが、遥かに費用対効果が高いということです。

しかも、リピーターが増えることで以下のような相乗効果が生まれます。

  • 販促費の削減(広告・営業コストの低減)

  • 従業員の承認欲求の充足(やりがい・定着率の向上)

  • 口コミによる自然集客

  • 顧客単価やLTVの上昇

このように、リピーター戦略は単なる販売テクニックではなく、企業全体の成長構造を支える土台となるのです。

 


リピーターを「戦略的に」設計する

では、どうすればリピーターを増やせるのか。それにはまず、「リピーターの定義」を明確にすることがスタートラインです。

たとえば、美容室であれば「45日以内に3回以上来店した顧客」など、数値で把握できる基準を設定します。これにより、誰がリピーターで、どこに改善余地があるかが明確になります。

また、リピーターには「同経験のリピート(同じ目的・同じ使い方)」と「異経験のリピート(別の目的・使い方)」、「時系列のリピート(ある商品を買った顧客が、次に別の関連商品が欲しくなる)」の3パターンがあります。

これらのうち「異経験のリピート」と「時系列のリピート」を意図的に増やすことで、価格競争からの脱却利益率の向上が可能になります。

 


利益が出たあとの経営者の課題:税負担

リピーター戦略が機能し始めると、売上は安定し、利益も徐々に積み上がってきます。ここで直面するのが「法人税の負担」という現実です。

中小企業の場合、年間利益が1,000万円を超えると、その約30%程度が税金として引かれることになります。つまり、仮に1,500万円の利益が出た場合、約450万円が税金として支払われるわけです。

このとき、単に「税金を払って終わり」にするのではなく、手元に残せる方法を模索するのが、経営者としての役割です。

その代表的な方法が、役員報酬の最適化です。

 


役員報酬の設定は「経費」になる

法人から役員(社長)へ支払う役員報酬は、一定の条件を満たせば、法人の経費として認められます。これは、会社の利益を圧縮し、法人税の節税につながる仕組みです。

たとえば、会社の利益が1,200万円であった場合、そのうち800万円を役員報酬として支払えば、法人としての課税所得は400万円まで圧縮できます。

この役員報酬に対しては、もちろん所得税や住民税がかかりますが、法人税よりも税率が低くなるケースが多く、結果的に手元に残るお金を最大化できるのです。

 


リピーター戦略×役員報酬最適化=「守りと攻めの経営」

ここで見えてくるのは、以下のような戦略構造です。

  • リピーターを育成することで、売上と利益を安定化させる(攻め)

  • 利益を法人税で無駄にせず、役員報酬で適切に引き出す(守り)

このように、「事業を伸ばす攻めの構造」と「財務を健全に保つ守りの戦略」を組み合わせることで、企業体質が強化され、長期的に持続可能なビジネスモデルが構築できます。

特に、リピーターが増えることで広告費などの経費が減れば、その分、さらに利益が増加します。この増加分も役員報酬として調整することで、納税額をコントロールしながら、個人資産を増やすことが可能です。

 


「続けること」が最大の強み

経営者が意識すべきは、「短期の売上」ではなく、「長期の関係性」です。価格競争に走るより、誠実な対応・サービス品質・双方向のコミュニケーションを積み重ねていくことで、お客様が自然と帰ってきたくなる状態をつくることが、最も健全な成長の形です。

また、役員報酬の最適化や、リピーター戦略の数字的な設計には、税理士やコンサルタントなど外部の専門家の力を借りることも効果的です。情報は常にアップデートされており、自社の規模や業態に合ったアドバイスを受けることで、意思決定の精度が高まります。

 


まとめ:長く、強く、しなやかな経営を

持続的に収益を上げるビジネスには、「顧客との関係性を深める攻め」と「財務を最適化する守り」の両方が必要です。リピーターを育てる経営は、表面的なテクニックではなく、企業文化そのものです。そして、得た利益を賢く残すためには、役員報酬という合法的な節税策を活用し、経営資源を次の投資へとつなげていくことが求められます。

「リピーター」と「役員報酬」――この2つは、一見すると異なる領域の話のように思えますが、どちらも企業経営を支える根幹です。地に足をつけた経営を続けるために、この両輪を上手に活用していきましょう。

 

 

 

「新規よりリピーター」──売上・利益・節税までつながる、経営者必須の戦略思考

多くのビジネスオーナーが「新規顧客の獲得」に夢中になる一方で、実は見落としがちな「最大の資産」があります。それがリピーターです。
ビジネスの成長を持続可能にするカギは、華やかなプロモーションでも、一時的な割引でもありません。「何度も買ってくれる顧客」を育てること。この地道な努力こそが、売上・利益・節税対策を含めた経営全体の安定に直結します。

売上の公式は「リピート」で決まる

まず、ビジネスの売上は以下のように分解できます。


 
 
売上 = 顧客数 × 客単価 × リピート回数

この中でも、特に改善インパクトが大きいのが「リピート回数」です。新規顧客を1人獲得するためのコストは、既存顧客を維持するコストの10〜16倍に跳ね上がります。つまり、売上が落ちたときに「新規開拓だ!」と動くのは、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるようなもの。顧客を逃さない仕組み=リピーター施策を整える方が、圧倒的に効率的です。


 

リピーターが利益と節税を両立させる

リピーターが増えると、利益率が上がります。広告費が抑えられ、売上が安定し、次の一手が打ちやすくなる。これにより節税の選択肢も広がります。

たとえば、

  • 役員報酬を戦略的に上げて節税

  • 福利厚生(リピーター向けイベントやノベルティ)を経費計上

  • 継続収益を担保に設備投資や法人化のタイミング調整

など、利益が読める経営が可能になります。


 

「安売り」は節税どころか経営を壊す

リピーター施策で気をつけたいのが「無計画な安売り」です。
安くすれば売れるのは事実。しかし、それでリピーターが増えるか? というと別問題です。値下げに意義を持たせることがポイントになります。

たとえば、ある老舗洋食店が「庶民に手の届く洋食を」という理念でボルシチを50円で提供し続ける。それがリピーターを呼び、SNSでも話題になる。ここには戦略的値下げとストーリーがあります。単なる値下げと違い、「心が動く」からリピートにつながるわけです。


 

リピーターを生む7つの仕組み

ここからは、実践的なリピーター創出戦略を7つに分けて紹介します。

 

1. 新規開拓の前に「リピーターになる新規」を見つける

無作為なクーポン配布では、価格重視の顧客が集まるだけ。
最初から「何度も来たくなる価値」を感じてくれる層を狙うべきです。例えば、美容室なら「定期メンテナンスを大切にする人」をピンポイントで狙う広告文やLP設計にする。

 

2. 購買導線を“5手先”まで設計する

商品やサービスに「次はこれを買いたくなる」流れを用意する。講座→コンサル→コミュニティ→年会費制サービスなど。ビジネスを階段構造にすることで、自然とリピートが生まれます。

さらに、定期契約型サービス(サブスク)を持つと、予測可能な売上+節税プランが立てやすくなります。

 

3. 「異なる目的」での再購入を促す

たとえば、チーズケーキを「自分用」だけでなく「お土産用」「手土産用」として売る。たった一言「贈答用ございます」と記載するだけで、買う理由が増える=リピート率が上がる

この再購入が繰り返されると、「BtoC → BtoB」へと取引規模も広がり、法人契約へと発展する可能性も。

 

4. 顧客が“自分ゴト化”できる情報発信

  • 実績・事例を具体的に見せる(件数、数値つき)

  • 購入後の流れをストーリー化する(例:「初回来店から3ヶ月で肌質が改善」など)

  • 顧客の声を“リアルに”集めて出す(良い点・不満点含めて)

この情報発信は、信頼の蓄積=リピートの土台になります。

 

5. 顧客の「WISH=願望」を読み取る

顧客が本当に求めているのは、商品そのものではなく**“その商品でどうなりたいか”**。この「WISH」を知れば、提案も接客もピタッとはまるようになります。

RIZAPが食事まで提案するのは、ダイエットの先に「魅力的な自分でありたい」というWISHがあるからです。

 

6. 「人」で選ばれる店・会社になる

最終的に顧客は「誰から買うか」で選びます。

  • 経営者の機嫌が良ければ、接客や社内の雰囲気もよくなり、リピーターは増える

  • 従業員の接客力を定期的に見直し、評価制度と連動させる

  • 経営者自身が他店の常連客になって、顧客心理を体験する

 

7. 続ける力=最大の信頼

コツコツ続ける企業に、顧客は安心と信頼を覚えます。

  • 毎日の掃除、挨拶、メルマガ配信など、地味だけど信頼をつくる行動

  • 定期的に存在感を出し続けることで、顧客の中で“選択肢の一番手”に残る


 

節税対策としても「継続収入」は有利

顧客が継続的に支払う仕組みがあれば、節税面での選択肢が大きく広がります。

  • 来期に向けて役員報酬や役員退職金の調整ができる

  • 従業員へのインセンティブ支給や福利厚生費の設計も柔軟に

  • 売上が読めるため、無理な節税対策や赤字経営に走る必要がなくなる

この「経営の予測可能性」は、融資の場面でも高く評価されるポイントです。

 


結論:「リピーター」は最高の経営資産

リピーター作りは、マーケティングテクニックではありません。経営の軸です。
利益、節税、安定、やりがい、社員満足──すべては「また来たい」と思ってくれるお客様によって支えられています。

 

派手さはなく、地味で、時間もかかる。
それでも、これ以上に「価値ある投資」はありません。

 

 

 

飲食店が安売りせずに売上を伸ばす。「リピーター創出」の実践戦略

経済環境が不安定な中でも、売上を安定させ、利益を確保する方法があります。それは、「安売り」ではなく「リピーター」をつくることです。
この記事では、価格競争に巻き込まれず、長く愛される店をつくるための実践的なノウハウを簡潔にご説明します。


 

なぜ、リピーターが必要なのでしょうか?

リピーターが重要である理由は、明確です。

  1. 集客コストが下がり、利益率が上がる
    新規顧客の獲得には、広告費や手間がかかります。一方、リピーターであれば広告を打たずとも来店してくれるため、コストはおよそ1/5で済むと言われています。

  2. 売上の見通しが立ちやすくなり、経営が安定する
    常連客は来店頻度や客単価が安定しているため、売上の予測がしやすくなります。これにより、無駄な仕入れや過剰な宣伝を減らし、攻めの経営も可能になります。

  3. 従業員の定着率が上がる
    常連が多い店では、スタッフとお客様の距離も近くなり、感謝の言葉や親しみのある関係がスタッフのモチベーション向上につながります。働く環境が楽しくなれば、自然と離職率も下がっていきます。


 

リピーターは「自然にできるもの」ではありません

多くの経営者は、「味に自信があるから常連が増えるだろう」と考えがちです。しかし、現代では情報があふれ、顧客の記憶はすぐに薄れてしまいます

「記憶に残る店」は、偶然ではなく戦略的に「つくる」ものです。リピーターは4つのタイプに分類されます。

  • 地理型(通勤や生活動線上の立地による来店)

  • 属人型(スタッフとの人間関係)

  • 商品型(特定の商品目的)

  • 記憶型(何かのきっかけで思い出して来店する)

この中で最も獲得コストが低く、強いファンになりやすいのが「記憶型リピーター」です。
「〇〇と言えばあの店」と顧客の脳内で連想される存在になることで、わざわざ足を運んでもらえるようになります。


 

顧客の記憶に残す「脳内SEO」という発想

記憶型リピーターを獲得するためには、「脳内SEO」という考え方が重要になります。
これは、検索エンジン対策のSEOのように、顧客の脳内で自店を思い出してもらうための仕組みづくりを指します。

 

脳内SEOの5つのポイント

  1. 徹底的に絞り込む
    店のジャンルや世界観を明確にし、「なんとなくのお店」ではなく、「あのお店」と思ってもらえるようにします。例えば、「海鮮居酒屋」ではなく「イカ好き大将のイカ料理専門店」のようにキャラクターを際立たせることが大切です。

  2. 売りを明確にし、ぶれない
    自店の強みを一つに絞り、それに関係ない要素は徹底的に排除します。例えば、「新鮮な魚」が売りなら、鶏料理などは扱わない方が記憶に残りやすくなります。

  3. 口コミが生まれるように工夫する
    数字や固有名詞を使ったキャッチコピーは記憶に残りやすく、口コミを生みやすいです。たとえば「100種類のスパイスを使ったカレー」「一級イカ焼き士のいる店」などが効果的です。

  4. 五感に訴える情報を増やす
    ショップカード、店内演出、香りや音など、顧客の五感を刺激することで、記憶に残りやすくなります。北海道の居酒屋「はちきょう」の「つっこ飯」の演出は、視覚・聴覚を活用した好例です。

  5. 伝えるべきは“安さ”ではなく“理念”
    「激安」「今だけ」ではなく、店の理念やこだわりを伝えることが、本物のリピーターにつながります。DMやSNSでも、パーソナルなストーリーを届けることで心をつかむことができます。


 

リピーターを定着させるための実践方法

  • 自分の好き・嫌いを100個ずつ書き出す
    自分が何を大切にし、何を避けたいのかを明確にすることで、店の方向性が定まります。

  • 嫌われてもいい店を目指す
    全ての人に好かれようとすると、誰の心にも残りません。あえて好みが分かれる店にすることで、濃いファンがつきます。

  • お客様が紹介したくなる店を作る
    初来店の7割が紹介によるものと言われています。紹介されやすい「ネタ」や体験を設計することがポイントです。

  • こだわりを「伝わる形」で発信する
    ストーリー、メニュー、掲示物などで「なぜこの料理を出しているのか」を伝える工夫をしましょう。

  • お店のストーリーを語る
    どんなきっかけで始めた店なのか、どんな思いで営業しているのかといった背景が共感を呼び、熱心な常連を生み出します。


 

接客にも工夫を

  • お客様を名前で呼ぶ
    名前を呼ばれることで顧客の意識は強く引かれます。名刺交換などを活用して、自然に名前を覚える工夫をすると効果的です。

  • 招かれざる客を遠ざける
    すべての顧客を歓迎する必要はありません。会員制や紹介制にすることで、価値観が合うお客様に絞ることができます。

  • 目を見て話す
    基本ですが、意外と実践されていない接客です。一瞬でも目を合わせることで、信頼感と安心感が生まれます。

  • サービスのしすぎに注意する
    過剰なサービスはかえって不快感や警戒心を与えることもあります。お客様が本当に望むものを見極め、適切な距離感を保ちましょう。

  • モノを預かる
    ボトルキープやマイ箸の預かりなど、再来店の理由をつくる工夫も有効です。店のコンセプトと絡めれば、記憶型リピーターにもつながります。

  • ポイントカードは通知で使う
    ポイントの失効通知は、来店のきっかけになります。期限が近いことを伝えるだけでも再訪率が上がります。

  • クレジットカード決済の導入
    手数料はかかりますが、利便性を上げることで来店機会の損失を防げます。明細に店名が残ることで、記憶にも残ります。


 

最終目標は「応援してくれるリピーター」

究極のリピーターは、ただの常連ではありません。店の価値観に共感し、新たな顧客を連れてきたり、店の改善に意見をくれたり、「店の仲間」になってくれる存在です。

こうした関係を築くには、「どんな商品を売るか」よりも、「なぜこの商売をやっているのか」という理念や思いを伝えることが何より重要です。

たとえば老舗の和菓子店「虎屋」は、100年以上続く理由を、味だけではなく理念の継承に見出しています。表面的な販促ではなく、店の本質を伝えることが、リピーター創出の鍵になるのです。

 

 

 

「節税」と「リピート売上戦略」は両立できるのか?

― 顧客心理と脳のメカニズムから考える、利益最大化の新常識 ―

「節税」と「売上アップ」は、経営者にとってしばしば相反するテーマとして捉えられがちです。

節税に注力すれば投資が控えめになり、売上を増やそうとしても利益が残らない。このようなジレンマに頭を悩ませている方は少なくありません。しかし、そもそも“新規顧客の獲得”を前提とした経営モデル自体が、売上と節税を対立させてしまっているのです。

事業を本質的に安定させる鍵は、「リピート(再購入)」の仕組みをつくることです。

ここで提唱するのは、「リピート戦略 × 節税」という視点での経営再設計です。これは表面的なノウハウではなく、人間の脳と感情メカニズムに基づいた構造的アプローチと言えます。

 


「節税」は目的ではなく、未来への武器です

多くの企業が「節税=支出を増やすこと」と誤解しています。

法人カードで無理に経費を作ったり、高額な備品や交際費で帳尻を合わせようとしたりするケースもあります。しかし、それらの支出が売上につながらなければ、ただの浪費に過ぎません。

本来、節税とは「利益の使い道を未来の売上に変える戦略」であるべきです。つまり、将来の利益を生み出す“布石”として、合法的に経費を使うことが前提になります。

この視点で有効なのが、「リピートの仕組み化」なのです。

 


リピートの仕組みに使うお金は、節税と売上の両方に効きます

リピート率を高める取り組みには、明確な投資対象があります。しかも、それらの多くは事業上必要な支出であると同時に、節税にもつながります。

 

▶ 1. 「異経験リピート」を狙うギフト戦略

同じ商品でも、顧客が別の目的で再購入することがあります。たとえば、自分用に買ったワインを、次は贈り物として購入するようなケースです。

こうした異なる目的でのリピートを促すために、ギフト用のパッケージ開発や紹介キャンペーン、SNS連携などの施策を行えば、広告宣伝費や販売促進費として計上することが可能です。

単なる販促ではなく、リピートを増やす“設計”として機能するのがポイントです。

 

▶ 2. 「時系列リピート」を設計して先手を打つ

「この商品を買った人は、次に何が欲しくなるか」をあらかじめ考え、準備しておくことが重要です。

たとえば、

  • コンサルティングサービスの契約後に「補助金申請サポート」や「採用支援パッケージ」を案内する

  • 飲食業で「顧客限定のイベント」や「体験型ギフト」を追加する

こうした連携商品やサービスは、開発費・研修費・販促費などとして適切に経費化できます。顧客にとっては自然な流れで再購入する理由ができ、企業にとっては安定収益の土台になります。

 


節税で「顧客満足の体験」を買いましょう

リピートの前提には「顧客満足」があります。ただし、「欲しかったものが手に入った」だけでは、本当の満足にはつながりません。

お客様が満足を感じるのは、「この人に頼んで良かった」と感情的に納得したときです。つまり、お客様の「こうなりたい」「こうありたい」という願望に寄り添った体験を提供することが必要です。

この体験設計にかけるコストもまた、節税の対象になります。

  • スタッフのヒアリング力を鍛える研修

  • パーソナルな手紙やメッセージツールの制作

  • 顧客との関係性を深めるツールや演出

こうした支出は、単なるサービス提供ではなく、「関係性の価値」を高めるための投資として活用できます。

 


社内の空気を整えることも節税の一部です

見落とされがちですが、リピート率の高い会社ほど、従業員の離職率が低い傾向があります。

その理由は明快です。長く通ってくれるお客様から「ありがとう」と言われる経験は、スタッフの承認欲求を満たし、仕事にやりがいを感じさせるからです。

こうした組織づくりにも、節税資金を有効に使うことができます。

  • 社内表彰制度の導入(福利厚生費)

  • 顧客との交流イベント(交際費)

  • スタッフ向けの教育やメンタルケア(研修費)

節税を“税金を減らす作業”と考えるのではなく、“職場のエネルギーを整える投資”と捉えることで、結果的にパフォーマンスの高い組織が生まれます。

 


新規獲得は「最後」で良い

多くの経営者が、新規顧客の獲得に時間とお金をかけすぎています。確かに、新規獲得は「目に見えて効果が出やすい」ため、取り組みやすい側面があります。

しかし、リピートの仕組みが整っていない状態で新規を増やすのは、「穴の開いたバケツに水を注ぐ」ようなものです。

むしろ、既存顧客との関係性を深め、リピート率を高めた方が、圧倒的に効率的です。信頼関係が築かれた顧客は、自ら進んで紹介者になってくれるからです。

 


「節税資金」は、バケツに蓋をするために使いましょう

売上は、「客数 × 客単価 × リピート率」で構成されます。

この中で、最も安定性をもたらすのは「リピート率」です。

節税によって得た資金を、新規集客ではなく「既存顧客を手放さない仕組み」に投資することで、売上も利益も自然と積み上がっていきます。

節税は単なる守りだけではありません。
顧客の感情と心理に寄り添い、信頼を積み上げていくための攻めの道具でもあります。

 

 

法人税法における役員給与・役員退職給与の取扱いまとめ

法人税法では、役員給与および役員退職給与の損金算入について厳格なルールが設けられています。これは、役員報酬が経営判断のもとで自由に決められがちであるため、節税目的での恣意的な支給を抑制するためです。

本記事では、使用人給与との違いを明確にしながら、法人税法上の損金算入の要件や留意点について詳しく整理します。

 


1. 使用人給与とその損金算入の基本

まず、通常の使用人に対する給与、賞与、残業代は、雇用契約に基づく対価として原則全額が損金に算入されます。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 過大給与:役員の親族など、特殊関係にある使用人に対して不相当に高額な給与が支払われた場合、その超過分は損金不算入となります。

  • 決算賞与:未払賞与を損金にするには、「金額の事前通知」「支払期日の遵守」「損金経理」の3要件を満たす必要があります。

  • 過年度未払残業代:労働基準監督署の是正勧告等により一括支給される未払残業代は、支払った事業年度の損金とされます。

 


2. 役員給与の取扱い

役員への給与は、職務執行の対価とされる適正範囲内であれば損金算入が可能です。ただし、自由な金額設定による過大な支給を避けるため、次の3つの支給形態に限定して損金算入が認められています。

 

(1) 定期同額給与

毎月同額が支給される給与。損金算入には以下の改定ルールを守る必要があります。

  • 通常改定:事業年度開始後3か月以内であれば金額変更可。

  • 臨時改定:役員の昇格・降格など正当な理由がある場合に限り途中改定可。

  • 業績悪化改定:経営難による減額も認められます。

定期性が認められない歩合給や、期中に正当な理由なく増額された報酬は損金算入できません。

 

(2) 事前確定届出給与

税務署にあらかじめ支給予定日・金額を届け出た上で支払う給与。届出通りに支払われなければ、たとえ一部でもその全額が損金不算入となるリスクがあります。

 

(3) 業績連動給与

主に大企業が対象で、法人の利益指標を基に支給額が決まる給与。中小企業の同族会社には適用されません。

 

 

経済的利益の取扱い

低額譲渡や債務免除など、金銭以外の利益も「給与」に該当します。これらも定期同額給与等の要件を満たすことで損金算入が認められます。

 


3. 役員退職給与の損金算入

役員退職金も、過大でなければ損金に算入できます。一般的には「功績倍率法」(最終月額報酬×勤続年数×功績倍率)によって妥当額が算定されます。以下のポイントが重要です。

 

在職期間と退職事情の考慮

  • 業績回復などを理由に、退任後に退職金を追加支給しても、当初の株主総会決議を超える額は原則損金不算入です。

  • 退職後も会長職などで実質的に経営に関与している場合、形式上退任していても「退職」とは認められず、支給額が損金不算入になる可能性があります。

 

最終報酬月額の注意点

業績悪化などで直前の給与が減額されている場合、退職金算定にその減額後金額を使うと不適切になる可能性があるため、1年あたり平均額法を使うケースもあります。

 


4. 執行役員と退職金

執行役員は法律上の役員ではなく原則として従業員と同じ扱いとなりますが、経営上の重要な決定に関わっている場合には「みなし役員」とされ、役員給与としての扱いを受けます。

  • 退職一時金の取扱い:執行役員就任時に支払われる退職金は、役員に準じた職務や責任がある場合、退職所得として認められる場合があります。

  • 雇用関係の継続有無が重要であり、形式上退職しても、実質的に勤務が続いていると判断されれば、給与所得として課税されます。

 


5. 出向者に関する取扱い

出向者の給与および退職給与に関しては、以下のような法人間の費用負担が論点になります。

  • 出向元法人が支給する較差補填金は損金算入可能。

  • 出向先法人が出向者に支払う給与の負担金は、出向者が役員に該当する場合「役員給与」としての扱いが必要で、株主総会等での決議や契約に基づく設定が必要です。

  • 出向期間中に出向先法人が支出する退職給与負担金も、合理的な算出根拠があれば損金算入可能です。

 


終わりに

法人税法における役員給与や退職給与の扱いは、恣意的な税負担の軽減を防ぐために多くの制限が設けられています。特に中小企業や同族会社においては、経営者の裁量と税務上の取扱いとのバランスを正しく理解し、制度に則った対応を行うことが極めて重要です。
誤った認識で処理をすると、後になって多額の追徴課税を受けるリスクもあります。会計事務所や税理士と連携し、適切な処理を心がけましょう。

 

 

 

利益構造の「掛け合わせ」で高収益と節税を両立させる方法

ビジネスで安定した高収益を生み出すためには、単一の稼ぎ方に依存せず、複数の利益構造を組み合わせることが重要です。これはマーケティング戦略や売上アップの観点だけでなく、節税対策という観点からも極めて有効です。

本記事では、「広告」「会費」「製造販売」「請負」「仲介手数料」「利用料」といった異なる利益構造を組み合わせることで、どのように収益性と税務効率を高められるのか、具体的事例を交えて解説します。

 


なぜ掛け合わせが節税にもつながるのか?

節税の基本原則は、「利益の分散」と「経費の最適化」です。利益構造の掛け合わせを行うことで、以下のような節税メリットが生まれます。

  • 収益源が分散されることで、キャッシュフローに余裕ができ、税金をコントロールしやすくなる

  • 利益の出る部門と赤字の部門をうまく組み合わせることで、全体の課税所得を抑えることが可能

  • 新規事業への投資や設備購入が必要になり、それ自体が経費として節税につながる

  • 法人化や事業分社化のタイミングを選びやすくなる

つまり、掛け合わせによって生まれる多様なキャッシュフローは、税務戦略の柔軟性を高める武器となるのです。

 


【事例1】広告 × 会費 × 製造販売(YouTuber型モデル)

YouTubeビジネスでは、広告収入(Googleからの入金)は法人で受け取ることで、社会保険料や個人の課税所得への影響をコントロールしやすくなります。

次にオンラインサロンやセミナー収益(会費・製造販売)を法人化すれば、会場費や撮影機材費、スタッフ人件費などを必要経費として合法的に計上可能です。

ここでの節税ポイント:

  • サロン収益を毎月安定させることで、計画的な利益調整が可能

  • 高額セミナーや教材販売を定期的に行えば、狙った時期に集中して利益を上げ、必要経費を計画的に使う選択肢が生まれる

  • YouTube機材やコンテンツ制作費も必要経費化しやすい

 


【事例2】請負 × 製造販売 × 仲介手数料(ライタービジネス型)

フリーランスからスタートし、自身のスキルをスクールとして「商品化」し、その後、卒業生に仕事を紹介することで仲介手数料を得る構造です。

このビジネスの節税観点での強みは、「教育」と「人材紹介」という業態を持つことで間接的な経費や将来の投資が生まれやすいことです。

節税ポイント:

  • スクール運営に必要な教材開発費、撮影・編集費などを初期投資として計上

  • 請負収入の課税負担を抑えるため、収益の一部を法人化し、教育部門と分けることで税率コントロールが可能

  • 仲介手数料は継続課金型収入として管理しやすく、法人収益の柱にしやすい


【事例3】製造販売 × 請負 × 会費(クリエイター型)

作品を作って売る(製造販売)ことに加え、依頼制作(請負)と、ファンクラブや作品利用権の販売(会費)を組み合わせるこのモデルは、非常に節税に強いビジネス構造です。

例えば:

  • 作品制作のために購入した道具・機材・素材がすべて経費となる

  • オンライン上の会員向けコンテンツのためのサーバー費用やアプリ開発費も経費

  • 請負制作が繁忙になると、外注スタッフへの支払で税引前利益をコントロールできる

さらに、会費ビジネスは継続収入かつ低コストで運用できるため、利益率が高く、黒字化しやすい点が大きなメリットです。

 


【事例4】利用料 × 会費 × 請負(ソフトウェア型)

自作ソフトの利用料に加えて、サポートコミュニティ(会費)と、カスタマイズ対応(請負)を提供するモデルは、初期開発費を有効に回収できる設計です。

節税的なポイント:

  • ソフトウェア開発にかかった外注費・人件費・設備費を経費計上

  • 利用料型のビジネスは売上の予測が立ちやすく、節税タイミングを事前に調整しやすい

  • カスタマイズ(請負)を法人化しておくと、利益の分散が可能に

特にIT系ビジネスでは、「個人開発 → 法人運用」というフェーズ設計をすると、個人の所得税を抑えながら所得税より低い法人税の税率にシフトすることが可能になります。

 


【事例5】製造販売 × 請負 × 利用料(ノウハウ商品化モデル)

セミナーでノウハウを提供し(製造販売)、依頼があれば実作業を引き受け(請負)、さらに機材レンタルなどの利用料収益を加えるこのモデルも、節税と高収益のバランスが非常に優れた構造です。

節税の工夫:

  • 機材レンタルにかかる減価償却費を適切に経費として処理

  • セミナー開催にかかる交通費、会場費、資料作成費なども経費化しやすい

 


まとめ:掛け合わせ×節税で「お金が残る」ビジネスに

高収益を目指すとき、多くの人は「売上をどう増やすか」に意識が偏りがちです。しかし本質的に重要なのは、「利益をどう残すか」です。

利益構造を3つ以上掛け合わせることで、単なる売上拡大だけでなく、経費の範囲が広がり、税負担を適切にコントロールできるというメリットがあります。

特に個人事業から法人化を検討している段階では、こうしたモデルを意識して設計することで、初年度からの黒字化と、適法な節税による資金の最適化が実現できます。

「どう売るか」だけでなく、「どう稼ぎ方を組み合わせ、どう節税するか」まで設計してこそ、真に強いビジネスが育ちます。

 

 

 

「値決め」と「利益構造」で節税はほぼ決まる:ひとり社長のための現実的な経営戦略

「これだけ売上があるのに、手元にお金が全然残らない…」
「節税といっても、何をどうすればいいのかわからない」

こういったお悩みを抱えている方は少なくありません。とくに、小さな会社やひとり社長の場合、売上はしっかりあるのに、なぜか資金繰りにいつも不安を感じる。そんな状況に陥りがちです。

その原因は、税金が高いからではなく、「値決め」と「利益構造」の設計に問題がある可能性があります。

「値決めは経営そのものである」という考え方は、節税にも深く関係しています。

今回は、「どんなビジネスモデルで、どう値決めを行うか」によって、手元資金を厚くし、無理なく節税し、長く稼げる仕組みを作る方法について解説していきます。

 


値決めは「誰と付き合うか」を決めること

価格とは、ただの数字ではありません。どのような人と、どのような関係で仕事をしていきたいかという「経営者としての意思表示」なのです。

たとえば、月に100個売れている商品があるとしましょう。それを150個売って1.5倍の売上を目指すより、単価を1.5倍にして100個売る方が、手間もコストも少なく済みます。利益率が上がり、税引き後に手元に残る金額も増える可能性が高いです。

しかも、価格を上げることでお客様の層が変わっていきます。価格にシビアな顧客よりも、「価値」を重視してくれる方と出会えるようになります

 


ビジネスモデルによって節税の「勝ち筋」は変わります

ビジネスのやり方によって、得られる利益の性質も、節税方法も変わってきます。ここでは、8つのビジネスモデルごとに、節税の観点から注意すべき点と改善策を整理します。

 


1. 仕入れ販売モデル:在庫は節税の敵になります

商品の仕入れにお金をかけたとしても、売れ残って在庫になってしまうと、その分は経費として認められません。

そのため、年末に大量に仕入れて節税しようとしても、在庫が残っていれば逆効果になる可能性があります。

→ 対策:在庫を持たない受注生産・予約販売にする、支払い条件を改善してキャッシュアウトを減らす

 


2. 製造販売モデル:価値に応じて自由に値決めできます

自分で作って売る商品(ハンドメイド・デジタル商材など)は、原価が低く利益率が高くなりやすいため、税金も多く発生しがちです。

ですが、逆にいえば「価値を正当に見積もって価格を上げやすい」モデルでもあります。

→ 対策:価格を見直して粗利を増やしつつ、設備投資や制作委託などで適切に経費を使いましょう

 


3. 仲介・紹介手数料モデル:売上=利益になりやすいモデルです

仲介型は原価がかからず利益率が高いため、放っておくと課税所得が大きくなります。

→ 対策:外注スタッフの手配・移動費・営業活動費などをしっかり経費計上/顧客と長期契約を結んで売上の分散も図りましょう

 


4. 請負型モデル:売上タイミングを設計しましょう

成果物納品後に一括請求をしていると、売上が一度に集中し、節税しにくくなります。

→ 対策:部分的に仕事が完了した都度請求するよう契約を設計し、売上の期を分散する工夫をしましょう

 


5. 利用料・サブスク型モデル:安定収益でも油断は禁物です

毎月の定額収入がある分、利益が積み上がってしまい、節税対策を怠ると手元資金が減っていきます。

→ 対策:定期的な設備投資や新サービス開発で経費を上手に発生させる/顧客満足のための支出を「未来の経費」と捉えましょう

 


6. 広告料モデル:早めに法人化を検討すべきモデルです

アクセスや影響力がある人は広告収入が得られますが、個人のままだと雑所得扱いになり、経費処理が難しくなる場合があります。

→ 対策:法人化を検討し、撮影機材・編集ツールなどの支出を経費化して節税効果を高めましょう

 


7. 会費・コミュニティモデル:つながりが利益と節税の鍵です

安定的な収入が得られる一方で、支出を怠ると利益が残りすぎてしまいます。

→ 対策:オフ会・イベント・講師招待など、会員向け価値提供に伴う支出をしっかり発生させる/コミュニティ運営スタッフも経費対象に

 


節税は「数字の操作」ではなく「仕組みの設計」です

節税と聞くと、「経費を増やせばいい」「売上を抑えればいい」といった短絡的な発想になりがちです。

ですが、そうではありません。どんなお客様に、どんな価値を、どんな価格で、どんな方法で提供するかという、ビジネスの設計そのものが、節税に直結するのです。

たとえば、

  • 値決めを見直すことで、売上と利益を同時に増やすことができます。

  • ビジネスモデルを変えることで、自然と経費が発生し、結果的に節税になります。

  • 顧客層を変えれば、サポートやサービスコストも抑えられます。

 


まとめ:あなたの値決めが、事業と税金の未来を決めます

節税とは、単なる税金対策ではありません。
どんなビジネスを、どう育てていくか。その設計を問い直すことが、最大の節税策なのです。

「節税は税理士に任せればいい」と考えるのではなく、「自分のビジネスモデルをどう磨くか」を考えることが、ひとり社長にとって一番重要です。

そしてその第一歩が、「値決め」です。

 

 

 

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