バケツの穴を塞がずに売上を追っていませんか?―リピート設計で利益アップと節税を両取り

中小企業の経営者の皆さまへ。
日々、売上をどう伸ばすか、利益をどう出すか、考え続けていらっしゃることと思います。
新しいお客様を獲得し、売上を作るのはもちろん大事なことです。でも、こんな経験はありませんか?

  • 売上はあるのに、通帳の残高は思ったほど増えていない
  • 新規のお客様は増えても、既存のお客様が離れていっている
  • 売上が伸びている実感はあるが、資金繰りがいつも不安

このような悩みを抱えている経営者の多くは、実は「売上の構造そのもの」がお金が残らない構造になっていることに気づいていません。
利益を出すための構造が確立できていないので、どれだけ頑張ってもお金が残らないという状況に陥っている場合が多いです。

目次

売上を構成する3つの要素

ご存知のとおり、売上は以下の式で表されます。

売上=客数 × 客単価 × リピート回数

これら3要素のどれが増えたとしても、売上は増加します。
しかし、売上が増加することと利益が増加することは別次元の話です。増収減益に苦しむ会社は世の中に数多く存在します。

営利企業の目的は利益を増やすことです。
そこで、利益を増やすために、ここにもう1つ視点を加えましょう。

それは「売上を構成する3つの要素のうち、どこに力を入れたら利益が残るのか」という視点です。

「バケツに穴」が空いたままの経営は危険

多くの中小企業が、最初に手をつけるのは「客数」を増やすことです。
これはもちろん大事です。ただし、リピート設計ができていない状態で客数を増やすのは、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるような行為です。どれだけ新しい顧客を獲得しても、次から次へと流れ出てしまいます。

穴の大きさに負けないように水を注ぎこむには多大な労力とコストを伴います。
これではいくら頑張っても、お金は増えていきません。

まずは、穴をふさいで(リピート回数を増やして)水(お金)が効率よく貯まるようにしましょう。

なぜ、リピートが優先なのか?

  • 新規獲得にはコストがかかる(広告・営業・商談など)
  • 既存客の再購入は心理的ハードルが低い(既に信頼がある)
  • いつものお客様からの感謝の言葉が従業員のモチベーションを上げる
  • リピートがあると収益予測が立てやすく、資金繰りが安定する

つまり、新規獲得よりも先にリピート構造を整備することが、最も効率的かつ経営にとって重要な戦略なのです。

「リピート設計=節税」になる理由

リピートの仕組みを作るために必要な投資=経費は、「将来の利益を生み出す経費」であり、節税しながら利益を生む極めて効果的な支出です。

リピート売上の仕組みを構築すると、安定して見込める売り上げのベースが出来上がります。
この状況が節税には非常に有利です。

売上の見込みが立てば、決算間際に急いで経費を使う必要がなく、期中から戦略的に経費を使うことができます。
また、節税策には毎期一定の支出を伴うものもあるため、売上のベースがあることでこれらの節税策を安心して実行することができます。

節税とは「目的を持って意味のある経費の使い方をする」こと

節税というと、「税金を減らすために何か買う」という発想に陥りがちですが、それは本質的に間違いです。
正しい節税とは、「事業の未来をつくる経費を、きちんとタイミングを見て使う」ことです。

何かを買えば確かに税金は減ります。しかし、目的なく何かを買ったところでお金が増えるわけではありません。
何かを買うくらいなら、むしろ何も買わない方がお金は残ります。

リピート売上構築に効果的な経費の例

たとえば、以下のような取り組みです。
これらは「リピート率向上のための投資」であり、将来の利益に寄与する支出です。

サブスク・会員サービスを作る

  • 月額会員制サポート(士業、コンサル業、専門店など)
  • オンライン教材の定期配信(教育・研修分野)
  • メンバー限定ツールやテンプレートの提供

顧客フォローアップ体制の構築

  • 顧客管理システムの導入
  • LINE公式・メールマガジンなどの配信システムの構築
  • 顧客フォロースタッフの教育・研修

継続的な価値提供のための仕組み導入

  • 毎月顧客向けに情報提供するためのコンテンツ制作
  • 動画配信、ウェビナー、アプリなどの仕組み整備
  • ファン化させるためのコミュニティ運営

節税の優先順位:まず「仕組み」に投資しましょう

節税というと、「車を買う」「パソコンを買う」といった物理的な支出を考えがちですが、これらはリピート売上にはつながりません(経営者の一時的なモチベーションにはつながるかもしれませんが)

最速でお金が増える仕組みを確立したいのであれば、まずは「リピートの仕組みを作るための支出」に優先的に経費を振り分けて節税しましょう。

リピート作りにおけるよくある失敗例

値引きでリピートしてもらおうとする

→ 値引きでリピートを増やしても、値引き目的の顧客ばかりが集まり利益は残りません。値引きをやめた途端に客足は遠のきます。
これは同経験のリピートを追い求めると陥りがちな罠です。

※同経験のリピートとは「同じ商品を同じ目的で購入するリピート」です。

経費だけ使って、仕組みとして活かせていない

→ システムを導入しても活用しなければ、効果はゼロです。導入後の運用・教育・改善を含めて設計をしましょう。

→ 「コンテンツや動画を作ったが放置」では、無駄遣いで終わってしまいます。コンテンツや動画を作った後、どのようにマネタイズするかまで設計しておきましょう。

まとめ:まず穴を塞ぐことが、最も効率的な節税

新規顧客を増やす前に、「今いるお客様に、もう一度来店してもらう仕組み」を作ること。
これこそが、最も確実に利益を残す方法であり、節税を効果的に行うための第一歩です。

新規顧客を増やす場合は、リピートしてもらえる新規顧客をターゲットにしましょう。
リピートによって客単価は自然と上げることができます。

リピート設計は、中長期的な利益構造の土台となるものです。
だからこそ、そこに投資することが経営上最も意味のある「節税」と言えるのです。

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わかお税理士
税理士(税理士登録番号:140275)、国際認証MBA(経営学修士)、ファイナンシャル・プランナー

20年以上の実務経験の中で、上場企業から中小零細企業まで100数十名の社長の経営・税務・資産形成を継続的に支援。
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