「103万円の壁」はもう古い?令和7年、知らないと損する年末調整の3つの重要変更点

今年も残すところあとわずか。会社員や公務員の皆さんにとっては、年末調整の書類が配られる季節がやってきました。「毎年書いているけど、なんだか面倒…」「そもそも、何がどうなっているのかよくわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

もし、あなたがそう感じているなら、今年の年末調整は特に注意が必要です。
実は、令和7年分から適用される税制改正は、単なる細かなルール変更ではありません。これらを知っているかどうかで、あなたの手取り額に思わぬ差が生まれるかもしれません。

この記事では、特に重要な5つの変更点を、税務の専門家として分かりやすく解説します。

目次

【大学生の子供がいる家庭は必見】新たに「特定親族特別控除」がスタート!

令和7年度の税制改正で、新たに「特定親族特別控除」という制度が創設されました。

これは、所得者(あなた)と生計を共にしている年齢19歳以上23歳未満の親族(主に大学生世代のお子さんが該当)で、その親族の合計所得金額が58万円超123万円以下の場合に適用される新しい所得控除です。

収入がアルバイト給与のみの場合は、年収が123万円超188万円以下のケースが対象となります。

この変更は、特にアルバイトに励む大学生のお子さんを持つご家庭にとって朗報です。
これまでは、お子さんのアルバイト収入が少し増えて年収123万円を超えてしまうと、扶養控除(特定扶養親族として63万円)の対象から外れ、世帯全体の税負担が急に増えるという問題がありました。

しかし、この新制度により、扶養控除から外れてしまっても、お子さんの所得額に応じた新たな控除を受けられるようになります。これにより、税負担の急激な増加が緩和され、お子さんが収入を気にしすぎることなく学業と両立しやすくなる効果が期待できます。

この控除を受けるためには、勤務先に「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を提出する必要がありますので、忘れずに手続きを行いましょう。

「103万円の壁」廃止、「123万円の壁」へ

長年、パートやアルバイトの収入調整の目安とされてきた「103万円の壁」。この常識が、令和7年分から大きく変わります。

これは単独の変更ではなく、以下の2つが同時に見直されたことによります。

  • 給与所得控除の最低額が55万円から65万円に引き上げ
  • 扶養親族の所得要件が合計所得48万円以下から58万円以下に引き上げ

この2つの「10万円アップ」が組み合わさることで、所得税がかからずに扶養に入れる年収の上限が変わりました。

• 改正前: 給与所得控除55万円 + 扶養の所得要件48万円 = 103万円

• 改正後: 給与所得控除65万円 + 扶養の所得要件58万円 = 123万円

 

この変更は、パートタイムで働く配偶者や、学業の傍らアルバイトをする学生にとって非常に大きなニュースです。

これまで「103万円」を意識してシフトを調整していた方も、これからは「123万円」まで働けるようになり、世帯の税負担を増やすことなく収入を増やせる柔軟性が高まります。

注意点としては、この記事で解説しているのは所得税の扶養に関する「壁」ということです。

社会保険の加入義務が発生する「106万円の壁」や「130万円の壁」は別途存在しますので、混同しないようにしましょう。

所得に応じて基礎控除額がアップ

これまで所得に応じて変動する仕組みだった所得税の「基礎控除」ですが、令和7年分からその控除額が引き上げられます。

これは令和2年から導入されている仕組みですが、令和7年からは控除額そのものが増額される点がポイントです。具体的には、合計所得金額に応じて基礎控除額が以下のように変わります。

合計所得金額改正後の基礎控除額
132万円以下95万円
132万円超 336万円以下88万円
336万円超 489万円以下68万円
489万円超 655万円以下63万円
655万円超 2,350万円以下58万円
2,350万円超48万円~0円(段階的に減少)

この改正により、特に合計所得金額が低い層にとっては、控除額が大幅に増え、減税効果が期待できます。

専門的に言うと、この新しい控除額は従来の基礎控除に特別な加算額が上乗せされたもので、特に低〜中所得者層の税負担を軽減する目的で設計されています。一方で、高所得者層は控除額が減少またはゼロになる可能性があるため、ご自身の所得がどの区分に当てはまるのかをしっかりと確認することが重要です。

まとめ

まとめ令和7年分の年末調整では、主に以下の点が大きく変わります。

• 特定親族特別控除の創設:19歳以上23歳未満の子供の年収が123万円を超えても、新たな控除が受けられる可能性(〜188万円まで)。

• 扶養の壁の引き上げ:所得税の扶養に関する「103万円の壁」が「123万円の壁」に。

• 基礎控除の増額:所得に応じた基礎控除額が引き上げられ、特に低〜中所得者層は減税に。

今年の年末調整、あなたはどの変更点に当てはまりそうですか?
これらの控除を適切に受けるためには、年末調整書類への正しい記入が必要です。
この機会に、ご自身の控除について一度見直してみてはいかがでしょうか。

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わかお税理士
税理士(税理士登録番号:140275)、国際認証MBA(経営学修士)、ファイナンシャル・プランナー

20年以上の実務経験の中で、上場企業から中小零細企業まで100数十名の社長の経営・税務・資産形成を継続的にサポート。
「節税は手段であって目的ではない」をモットーとし、中長期的に会社の健全な成長に貢献する節税策のみを提案している。

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