「時系列リピート」でお金を残す経営へ―1商品で終わらない、5つ先まで買ってもらうための設計図

中小企業経営者の皆さまへ。

「一度きりで終わる取引」ばかりになっていませんか?
新規開拓に力を入れても、その後の売上が続かない。せっかくの努力が単発で終わってしまうと、経費は積み上がるのに、お金は残りません。

そこで今回のテーマは、「時系列リピート」です。
これは、一度の購入をきっかけに、次の商品へ、さらに次の商品へと連鎖的に購入が続いていく仕組みを設計する考え方です。

この仕組みは、「お金が残る経営」において非常に重要です。

目次

時系列リピートとは?その特徴と目的

時系列リピートとは、時間軸に沿ってお客様の成長や課題の変化に応じて別の商品・サービスを提供していく設計です。

お客様は常に「次のステージ」へ進もうとしています。
それに対して、適切な次の商品・サービスを準備しておくことで、自然なリピートが発生します。

一般的なリピートとの違い

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項目一般的なリピート時系列リピート
リピートの型同じ商品を何度も売る新しい商品を順に提案
動機習慣・惰性成長・変化への対応
単価一定・下がりやすいステップアップで上がる
差別化しにくいしやすい(オリジナル設計が可能)

目的は関係性の深化

時系列リピートの狙いは、お客様との関係性を深めることです。
関係性が深くなると、以下のような現象が起こります。

  • 今さら他社に乗り換えて失敗したくないという気持ちが生まれ、継続につながる
  • 自分を深く理解してくれている会社として、お客様がこちらを信頼してくれる
  • 1つの商品・サービスに依存せず、LTV(顧客生涯価値)が高まる

時系列リピート設計の5ステップ

STEP1:入口商品を明確にする

まずは「お客様にとって一番入りやすい商品=入口商品」を明確にします。
これはニーズが顕在化していて、スピード感を持って解決したい領域が適しています。

STEP2:ステップアップ構造を描く

入口商品を起点に、2商品目、3商品目…と最低5つ先までの「連鎖」を設計します。

例:

  1. 商品1(パン) →
  2. 商品2(パンの焼き方教室) →
  3. 商品3(パンに合う紅茶) →
  4. 商品4(紅茶の入れ方教室) →
  5. 商品5(アフタヌーンティー用の食器)

このような連鎖構造を組んでおくことで、営業のたびに提案を考える必要がなくなり、仕組みとして自然に売上が積み上がるようになります。

STEP3:モノとサービスを交互に設計する

時系列リピートで重要なのは、モノ(形ある商品)とサービス(形のない支援)を交互に組み合わせることです。

  • モノ → サービス(例:料理 → 料理教室)
  • サービス → モノ(例:セミナー → 教材)

この交互設計によって、継続性と収益性のバランスが取れ、利益を生む経費設計にもつながります。

STEP4:購入理由を未来化する

次の商品を提案する際は、過去の延長ではなく「これからの未来」に理由を持たせます。

  • 「この課題を乗り越えたから、次はこちらへ」
  • 「今の状態を発展させるために必要な次のステップ」

お客様にとってより良い未来へとステップアップするために次の商品・サービスが存在します。なぜ次の商品・サービスがお客様の未来のためになるのかを言語化しましょう。

STEP5:商品3までを設計してから新規を追う

時系列設計の原則は「商品3まで設計してから新規営業に行く」ことです。
なぜなら、商品1だけで終わってしまうと、単価も利益もお金も増えないからです。

あらかじめ商品3まで設計しておけば、商品1へ集客が自然と商品3までのリピートにつながります。

あくまでも利益・お金を増やすのは商品2以降です。

業種別の時系列リピート設計例

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業種商品1商品2〜5(例)
士業単発相談簡易ツール販売 → 月額顧問 → 動画・デジタル教材 → コンサル契約
美容カット1回ホームケア商品 →トリートメント → スキンケア商品 → 定期ケア契約
教育体験講座教材 → 動画講座 → 実力診断テスト → 教室受講

※このように前の商品・サービスを購入したお客様が次に必要になるものを、できれば商品・サービスを交互に設計しましょう。

よくある失敗とその対処法

1つの商品に全力を注ぎすぎる

→ 商品1に力を入れすぎて、次がない。リピートが生まれず、利益率が低くなる。
対処:必ず連鎖前提で入口商品を作る

価格設定がバラバラになる

→ 商品2以降が安すぎたり高すぎたりして、離脱が起きる。
対処:時系列リピート全体で「利益構造」を考える(価格・価値のバランス)

まとめ:「次を買ってもらうための設計図」が最も利益を生む投資になる

時系列リピートは、今の売上ではなく、これからの売上を設計する考え方です。
商品1へ集客をすれば、自然と商品2→商品3・・・とリピートされていく仕組みなため、広告宣伝費や営業人件費の無駄がありません。

また、時系列リピートでお客様との関係性を深めることで、その後の継続リピートの可能性が高まります。
利益率を上げてお金を残す経営を望むのであれば、是非とも設計に着手していただきたいです。

この考え方で得られる3つの効果:

  1. 顧客1人あたりの売上(LTV)が安定して伸びる
  2. 新規顧客獲得への依存度が下がり、集客コストが下がる
  3. リピート客からの感謝の言葉は従業員のモチベーションを上げる

安定したキャッシュフローを実現するためには、「商品を連鎖させる視点」は欠かせません。

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わかお税理士
税理士(税理士登録番号:140275)、国際認証MBA(経営学修士)、ファイナンシャル・プランナー

20年以上の実務経験の中で、上場企業から中小零細企業まで100数十名の社長の経営・税務・資産形成を継続的に支援。
もっと会社にお金を残したい社長へ。利益最大化と合理的節税で通帳残高を増やす、ご機嫌な未来志向の経営をサポートしています

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