あの常連客が来なくなった本当の理由は、商品の問題ではありませんでした ~税理士が教えるLTV向上の新常識~


目次

はじめに:笑顔で帰ったお客様が、二度と来なくなる不思議

こんな経験はありませんか。

毎月のように通ってくれていた常連のAさんが、ある日を境にパタリと来なくなってしまった。
思い当たる節がなくて担当者に確認してみても、特にトラブルはなく、最後も笑顔で帰られたという報告だけが返ってくる。

実は、この状況が一番怖いのかもしれません。

お客様は、怒って去ったわけではないからです。

お客様が去るのは、商品が悪くなったからではありません。
その商品を使う新しい理由が見つからなくなったからです。

今回は、お客様を飽きさせず、長く愛され続けるための戦略についてお伝えします。

人間の脳は「慣れ」を「退屈」と感じてしまう

まず、顧客心理の基本的な部分を押さえておきましょう。

経済学には限界効用逓減の法則という言葉があります。
難しそうに聞こえますが、要するに最初の1杯目のビールが一番おいしくて、3杯目になるとそこそこになるという話です。

どんなに素晴らしい商品でも、購入した瞬間の喜びがピークで、そこからは徐々に当たり前になっていきます。
これが満足の賞味期限というものです。

この問題を解決するために、多くの企業は新商品を開発しようとします。
しかし、中小企業が大手メーカーのように毎シーズン画期的な新商品を出し続けるのは現実的ではありません。
開発コストで利益が吹き飛んでしまいます。

そこで必要になるのが発想の転換です。
商品は同じままで、買う意味を変えるという考え方になります。

たとえば、同じ商品を前回は自分の悩み解決のために買ったとします。
今回は大切な人へのギフトとして買う。
次は家族との時間のために買う。

商品はまったく同じでも、購入する動機や文脈が変われば、お客様の頭の中では新しい体験として処理されます。
脳が飽きないわけです。

税理士が見る「心理的な財布」の話

お客様、特に経営者やビジネスパーソンは、実は複数の財布を持っています。
物理的な財布は一つでも、心の中にある財布、いわば勘定科目のようなものは別々に存在しているのです。

たとえば、3万円の高級な万年筆を売る場面を想像してみてください。

仕事の効率が上がりますよと伝えると、お客様の頭の中では事務用品費という財布が開きます。
この財布から3万円を出すのは、正直ちょっと高いなと感じてしまうでしょう。

ところが、お世話になったあの方への昇進祝いに最適ですと伝えると、交際費やギフトという財布が開きます。
この財布からなら、3万円は恥ずかしくない金額だと納得してもらえます。

さらに、一流の契約書にサインする自分を演出するツールですと伝えると、自己投資という財布が開きます。
将来への投資なら安いものだと感じてもらえるかもしれません。

同じ3万円の商品でも、どの心理的な財布に訴求するかで、お客様が感じる高さや安さの感覚はガラリと変わります。

今回は自分用に買ってもらったから、次回はギフト用に買ってもらえるように導線を設計する。
このように戦略的にターゲットとする財布を変えていくのがリピートの極意です。

明日から使える3つのルート

では、具体的にどのように提案を変えていけばいいのでしょうか。すぐに実践できる3つのルートをご紹介します。

ルート1:自分用からギフトへの転換

これが最も取り組みやすく、しかも売上へのインパクトが大きいルートです。

あなたの商品を気に入っているお客様は、その商品の良さを一番よく知っている人です。
つまり、最強の推奨者になり得る存在といえます。

たとえば食品通販の場合、こんなアプローチが考えられます。

いつもご自宅用にご愛用いただきありがとうございます。
来月は母の日ですが、お母様にもこの味を体験していただきませんか。
今なら限定のメッセージカードをお付けしますよ。

これは単なる売り込みではありません。
お客様が持っている、良いものを大切な人と共有したいという気持ちを叶える提案になっています。

さらに嬉しいのは、ギフト需要を取り込むと、ギフトを受け取った人が新規顧客としてコストゼロで獲得できるという副次効果があることです。

ルート2:モノから体験・サービスへの転換

商品を売った後に、その商品に関連する体験やサービスを提案するルートです。

たとえばアパレルや着物店の場合を考えてみましょう。着物を売って終わりではなく、着付け教室、着物でランチ会、クリーニングやメンテナンスといったサービスを提案していきます。

モノである着物は一度買えば何年も持ちますが、コトである着る機会やメンテナンスは何度でもリピートしてもらえます。

お客様にとっても、買ったけれど着ていく場所がないという悩みが解決されるので、満足度が上がります。

ルート3:利用者から協力者への転換

コミュニティマーケティング的なアプローチです。
単なる消費者ではなく、ブランドを一緒に育てるパートナーとしての役割を提案します。

たとえばITツールやSaaSの場合、今度のユーザー会で先輩ユーザーとして登壇していただけませんかという声かけが効果的です。

ここでの対価は、必ずしもお金である必要はありません。名誉や承認が対価になります。
役割が変われば、より深く会社に関与してくれるようになるでしょう。

アナログで十分できる工夫がある

通販の商品発送時に、次回使える全く違う商品の提案チラシを一枚入れるだけでも効果があります。

ポイントは、いつも健康食品の青汁を買っている人に、青汁のチラシを入れても意味がないということです。

代わりに、青汁をご愛飲の皆様へ、実は健康な体作りには睡眠も重要なんですという文脈で、快眠枕やアロマオイルを提案するのです。

これがクロスセルの本質であり、お客様に「へぇ、こんなのもあるんだ」という新鮮な驚きを提供することになります。

お客様の「叶えたい未来」に目を向ける

結局のところ、リピートとは何でしょうか。

それは、お客様の人生やビジネスのストーリーに、多角的に関わろうとする姿勢だと私は考えています。

お客様には、ニーズ(必要性)とウォンツ(欲求)の奥に、ウィッシュ(叶えたい理想の未来)があります。

健康食品が欲しいというウォンツの奥にあるウィッシュは、いつまでも家族と旅行に行きたいかもしれません。
それなら、旅行グッズを提案してもいいはずです。

うちは○○屋だから、これしか売れない。
その固定観念こそが、お客様を飽きさせ、リピート率を下げている最大の原因かもしれません。

提案の引き出しが、会社の寿命を決める

あなたは、お客様の人生の、いくつの場面に登場できていますか。

朝起きる時だけでしょうか。
仕事中だけでしょうか。
自分用だけでしょうか。
ギフト用もでしょうか。
日常だけでしょうか。
特別な日もでしょうか。

登場する場面が一つしかなければ、その場面がなくなればそこで関係は終わってしまいます。

しかし、複数の場面に入り込むことができれば、関係性は網の目のように強固になり、競合他社が入り込む隙間はなくなります。

新規開拓の広告費を使う前に、既存のお客様のリストを見て、こう会議で問いかけてみてください。

このお客様に、今までと違う何の体験を提案できるだろうか。

そのアイデアの数だけ、御社の利益は積み上がっていきます。

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わかお税理士
税理士(税理士登録番号:140275)、国際認証MBA(経営学修士)、ファイナンシャル・プランナー

20年以上の実務経験の中で、上場企業から中小零細企業まで100数十名の社長の経営・税務・資産形成を継続的に支援。
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