リピート売上の設計が節税に?利益アップと節税を両立する方法

こんにちは、越谷市の法人税務を専門とする税理士の若尾です。

今回のテーマは、「リピート売上の設計と節税の意外な関係」についてです。

売上が増えても、単発の取引ばかりでは利益が安定せず、キャッシュも思うように残りません。そして、その結果として「節税するお金の余裕」すら生まれないという負の連鎖に陥る会社は少なくありません。

実は、継続的なリピート収益を設計することが、節税の本質にもつながっているのです。

目次

リピート売上の設計とは何か?

リピート売上の設計とは、「1人の顧客との取引を、1回で終わらせず、継続的な関係に変えていく仕組み」です。

これには次のような種類があります。

  • 同経験のリピート(同じ商品を定期的に購入してもらう)
    (例)毎週同じ食パンを買う
  • 異経験のリピート(同じ商品やサービスを別の切り口で購入してもらう)
    (例)自宅用に買った食パンを次は贈答用に買う
  • 時系列のリピート(最初の商品を入口に、関連商品を連鎖的に購入してもらう)
    (例)食パンを買ったら、食パンに合うジャムが欲しい

このリピート構造があることで、毎月ゼロから新規営業をしなくても、安定的に売上が立つ状態をつくることができます。

さらに重要なのは、リピート設計によって顧客1人あたりのLTV(顧客生涯価値)が大幅に向上することです。顧客1人あたりの売上と利益が伸びれば、新規集客にかけるコストを減らしながら事業の成長が可能になります。

リピート構造が節税につながる理由

では、なぜリピート売上の設計が節税に結びつくのでしょうか?

その理由は大きく分けて2つあります。

見込み利益が読めることで、節税を計画することができる

リピート売上があるビジネスでは、半年後・1年後の売上の見通しが立ちやすくなります。そうなると、「いつ・いくら・どう使うか」といった節税の計画も立てやすくなり、無理のない資金配分が可能になります。

これは特に、法人保険や設備投資など、ある程度まとまった支出が必要な節税対策を検討するときに大きなメリットです。売上の見通しが立てば、「効率的な節税」ができるようになります。

逆に売上の上がり下がりが大きい状態で多額の支出を伴う節税策に手を出してしまうと、後で資金繰りに苦しむことになります。
節税したために銀行からお金を借りなくてはならなくなったでは本末転倒です。

設備投資などの先行投資の意思決定がしやすくなる

安定収益があると、「税金を減らすためのその場しのぎの消費支出」ではなく、「未来をつくるための継続投資」にお金を使うことができます。結果的に、税金を減らしながら利益を増やし、会社の価値をさらに高めることができます。

このように、リピート構造の強化は、節税しながら利益を増やす、増やした利益でさらに節税投資するという、節税と利益アップの好循環を生み出すことができます。。

リピート設計の基本パターン

では、実際にリピート売上を設計していくには、どんな発想が有効なのか?基本となる3つの型をご紹介します。

同経験リピートの仕組み化

これは、同じ商品やサービスを、定期的・継続的に使ってもらう仕組みです。

  • 月額顧問契約
  • 定期配送
  • メンテナンス、サポート契約

同経験リピートは売上のベースをつくるという意味においては有効ですが、このリピートに頼りすぎると顧客をつなぎとめるための価格競争・過剰サービスへつながる危険性があります。

この後ご紹介する異経験リピートと時系列リピートとのバランスをとることが重要です。

異経験リピートの発見

同じ顧客に、別の切り口で商品・サービスを提供することでリピートをつくる発想です。

  • 「使う人」から「贈る人」へ(自分用→ギフト用)
  • 「個人消費」から「法人消費」へ(プライベート使用→法人経費)

これは、商品を単純にリピート購入してもらうのではなく、顧客の立場や用途を変えることで、新たなニーズを掘り起こすという考え方です。

自分用ならお値打ちなものを買いがちですが、贈答用や法人の経費になるなら少々値が張るものでも買いやすくなります。
こうして同じ商品でも買う目的を変えることで、利益率を高めながらリピート売上を増やす視点です。

時系列リピートの設計

時系列リピートは、最も強力なリピートです。ひとつの商品の後に、連鎖的に別商品へと自然にステップアップしてもらう仕組みです。

  • 初心者向け→中級者向け→プロ向けのステップ商品
  • セミナー→教材購入→コンサルティング契約

毎回の購入後に「次に欲しくなるもの」を提案しましょう。この連鎖がしっかり設計されていれば、顧客1人に対して複数回の収益が生まれ、広告費や営業コストは数分の一に削減されます。

次の商品・サービスを買うことで、前に買った商品・サービスがより効果を発揮する、より有効活用できるといったお客様の利益にかなう設計にしましょう。

リピート設計と税務戦略の融合

リピートによって売上と利益の見通しが立つと、税務戦略は大きく変わります。

  • 節税のタイミングを前倒しできる:いつどれだけ利益が出るかが読めるので、決算直前に慌ててではなく期中から節税策を実行できるようになります。
  • 先行投資ができるようになる:未来の売上が読めるため、戦略的な節税支出(設備投資・人材採用・広告宣伝)に迷いなくお金をかけられます。
  • 税理士との連携も高精度に:見込み収益があることで、税理士とのキャッシュフローシミュレーションも精度が上がり、過不足のない節税が可能になります。

まとめ:節税体質をつくるには、まずリピート体質から

節税とは、単に税金を減らす行為ではなく、「利益を出し続けること」と「利益の使い道を戦略的に決めること」によって実現します。

その土台となるのが、リピートによって安定した収益基盤をつくることです。

リピート売上があるからこそ、

  • キャッシュが安定する
  • 利益の出し方を設計できる
  • 節税対策も「先回り」で打てる
  • 成長戦略への投資ができる

という流れが生まれ、結果的に「お金が残る経営」に繋がっていきます。

効率的な節税をしたいなら、継続的な売上と利益構造を設計しましょう。
リピート売上の設計を経営戦略の中心に据えることで、あなたの会社はお金が増える「勝ちパターンの経営」へと近づくことができます。

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わかお税理士
税理士(税理士登録番号:140275)、国際認証MBA(経営学修士)、ファイナンシャル・プランナー

20年以上の実務経験の中で、上場企業から中小零細企業まで100数十名の社長の経営・税務・資産形成を継続的にサポート。
「節税は手段であって目的ではない」をモットーとし、中長期的に会社の健全な成長に貢献する節税策のみを提案している。

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