年間10万円で自宅と家族を守れる制度が2026年3月で補助金半減。経営者保証を外すなら今がチャンスです

目次

はじめに:あなたの自宅は、今も担保に取られていませんか

会社が万が一倒産したら、自宅も預金も、家族の生活もすべて失ってしまう。

日本の中小企業経営者の多くは、長年この不安と隣り合わせで経営を続けてきました。
いわゆる経営者保証、つまり連帯保証の問題です。

融資を受けるとき、社長個人が連帯保証人になることを求められる。
この日本独自の商慣習が、どれだけ多くの経営者の心を重くし、思い切った事業投資や後継者へのスムーズなバトンタッチを難しくしてきたことでしょうか。

しかし、時代は確実に変わりつつあります。
政府は今、この個人保証に依存した融資慣行を終わらせようとしています。

そして今、保証料を少し多く払えば経営者保証を外せるという画期的な制度が、期間限定の手厚い補助金付きで利用できることをご存知でしょうか。

その期限は2026年3月31日。あと数ヶ月しかありません。

今回は、社長個人の全財産を守るための切り札である事業者選択型経営者保証非提供制度について、税理士の視点から実務的に解説していきます。

経営者保証は、もはや当たり前ではなくなっています

まず、認識をアップデートしていただきたいことがあります。

中小企業がお金を借りるなら、社長が保証人になるのは当たり前。これは数年前までの常識でした。
しかし、今は違います。

金融庁と中小企業庁は経営者保証に関するガイドラインを策定し、銀行に対して一定の要件を満たす企業には経営者保証を求めないよう強く指導しています。
実際、新規融資における無保証の割合は年々増加しているのが現状です。

ただ、現場の実感としてはどうでしょうか。

「ガイドラインは知っているけれど、銀行からはまだ御社の財務内容では外せませんねと言われて終わり」

そんな悔しい思いをしている社長も多いのではないでしょうか。

銀行側としても、長年染みついた、保証人で保全するという感覚は、すぐには変わりません。
そこで登場したのが、銀行と企業の双方にとって使いやすい新制度である事業者選択型経営者保証非提供制度です。

仕組みはシンプルで、保証料の上乗せで保証人が不要になります

この制度の仕組みはシンプルです。

信用保証協会に支払う保証料を少し多く払う(0.25%または0.45%)代わりに、社長の個人保証を外す
たったこれだけの話です。

従来は、どれだけ財務内容が良くても、銀行との交渉や複雑な審査が必要でした。
しかしこの制度では、コストという対価を支払うことで、個人無保証の権利を得ることができます。

これは経営における最大のリスクヘッジと言えるでしょう。
会社が万が一倒産しても、社長個人の資産である自宅や預貯金、株式などは守られ、再起が可能になります。
この安心感がどれほどの価値を持つか、経営者であるあなたなら痛いほどお分かりのはずです。

なぜ2026年3月が期限なのか。補助金の仕組みを理解してください

そんな良い制度なら、いつでも使えるのではないかと思われた方もいらっしゃるかもしれません。
ここに重要なポイントがあります。

この制度を利用するには、通常よりも高い保証料率が適用されます。
しかし国はこの制度を普及させるため、上乗せされる保証料の一部を国が補助するという支援策を講じています

この補助率が、2026年3月末を境に大きく下がるのです。

保証料補助のスケジュールをご確認ください

2026年3月31日までの申込分については、国の補助がまだ手厚く(補助率0.10%)、自己負担の上乗せは少額で済みます。

2026年4月1日から2027年3月31日までは、補助率が引き下げられ(補助率0.05%)、自己負担額が増えます。

2027年4月以降は、補助が終了する予定です。

つまり、2026年3月までに滑り込むかどうかで、向こう数年間の支払コストが大きく変わってきます
この制度は一度契約すれば返済完了まで適用されるため、入り口のタイミングがすべてを決めると言っても過言ではないでしょう。

制度を利用するための3つの条件を確認しましょう

もちろん、どんな会社でも無条件で使えるわけではありません。
しかし、そのハードルは従来の経営者保証ガイドラインによる解除に比べれば、明確で乗り越えやすいものになっています。

以下の3つの要件を満たしているか、確認してみてください。

条件1:法人と個人の分離ができているか

これは基本中の基本です。

直近の決算において社長への貸付金等がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと
継続してこの状態を維持すると誓約すること。

つまり、社長個人の飲食代や生活費を会社につけ回していないことが求められます。

もし役員貸付金が残っているなら、今すぐ解消する方法を検討する必要があります。
これが残っている状態で保証を外すことは難しいでしょう。

御社の決算書に役員貸付金の残高はありませんか。

条件2:財務基盤が一定の水準にあるか

直近の決算で資産超過、つまり純資産がプラスであること
直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと

これらのうちのいずれかを満たす必要があります。

簡単に言えば、返済原資を稼ぐ力があり、債務超過でなければ問題ありません。
超優良企業である必要はないのです。

条件3:財務情報の開示と報告を継続すること

ここが意外と見落とされがちなポイントです。

過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出していること
この情報開示を継続して行うことを誓約する必要があります。

決算書等を出すのが面倒だと思われる方もいるかもしれません。
しかし、情報を隠す会社は信用されないのが現実です。
逆に考えれば、ガラス張りの経営をするから私の個人資産は守ってほしいという契約だと捉えることができます。

コストとリスクを比較してみましょう。実質的な倒産保険と言えます

保証料が上がるのは気になるという経営者の方もいらっしゃるでしょう。
具体的にどれくらい上がるのか、見てみましょう。

例えば、保証料率が0.2~0.4%程度上がると仮定します。
5,000万円の借入であれば、年間で10~20万円程度のコスト増です。

保証料は経費になるため、減税効果を加味すれば、実質7~14万円程度の負担です。

ここで冷静に考えてみてください。
年間10数万円の保険料で、数千万円、あるいは億単位の個人債務リスクをゼロにできる保険が、世の中に存在するでしょうか。

おそらく存在しないでしょう。
これは経営者にとって最もコストパフォーマンスの高い掛け捨て保険と言えます。
会社の経費で社長個人の人生を守ることができるのですから、これを高いと感じる必要はありません。

新規融資だけではありません。借り換えで過去の保証も外せます

この制度の最も賢い使い方は、既存の保証付き融資の借り換え、いわゆる巻き直しです。

今は資金が必要ないから関係ないと思われた方、少し待ってください。
現在、信用保証協会の保証が付いている借入で、経営者保証ありのものが残っていませんか。

それらをすべて、この事業者選択型制度を使って経営者保証なしの融資に借り換えることが可能です。

銀行にはこう伝えてみてください。

「2026年3月までに、既存の保証付き融資を事業者選択型制度を使って保証なしに一本化したい」

銀行にとっても、融資残高は変わらず保証協会の保全は続くため、断る理由は少ないはずです。
ただし銀行側の事務手続きは発生しますので、早めの相談をお勧めします。

銀行との交渉で押さえておきたいポイント

銀行担当者に連絡する際に意識していただきたいことをお伝えします。

ポイント1:制度を使いたいと明確に伝えること

銀行員から提案してくるのを待っていてはいけません。
彼らは忙しく、また保証があった方が銀行としては安心なので、積極的には提案してこない場合もあります。
社長から切り出すことが大切です。

ポイント2:情報開示を約束すること

「要件にある情報開示はしっかりやります。必要に応じて試算表や資金繰り表も提出します」と宣言してください。
これが銀行員を安心させ、手続きを進める原動力になります。

ポイント3:期限を意識させること

「補助率の高い3月末までに実行したいので、逆算してスケジュールを組んでください」と伝えましょう。
銀行の審査と保証協会の審査には1ヶ月から2ヶ月かかります。1月と2月がタイムリミットだと考えておく必要があるのです。

最後に:小手先の節税より先に自身とご家族を守りましょう

経営者保証の解除。
これは単なる金利や手数料の話ではありません。経営者とご家族の安心に関わる話です。

万が一、事業が立ち行かなくなったとき。
会社は倒産したけれど自宅は残った、家族の生活費も手元にある、だからもう一度やり直せる。
そう思えるか。

それとも、会社も家も車もすべて失った、自己破産しか道がない。
そこまで追い詰められてしまうのか。

その分岐点が、経営者保証を外すかどうかにかかっています。

小手先の節税で効果が曖昧な経費を使うより優先すべきは経営者保証の解除です。
あなたの決断が、未来のあなた自身とご家族を守ることにつながります。

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わかお税理士
税理士(税理士登録番号:140275)、国際認証MBA(経営学修士)、ファイナンシャル・プランナー

20年以上の実務経験の中で、上場企業から中小零細企業まで100数十名の社長の経営・税務・資産形成を継続的に支援。
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