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貸倒損失のタイミングを見極める

みなさまの会社の貸借対照表にどうにも回収できる気がしない債権(売掛金・貸付金など)が残っていませんか?

その債権をそのまま放置してしまうと知らぬうちに貸倒損失に落とすタイミングを逃してしまうかもしれません。何らかの理由で回収不能になってしまったのであれば、その損失は納税額の減少という形で少しでも取り返しましょう

税率が40%と仮定すると、100万円の貸倒れを適正に処理すれば40万円の納税額減少が見込めます。
何もせずタイミングを逸してしまえばゼロです。貸倒損失の要件を満たさないのに損失処理をしてしまえば、過少申告加算税・延滞税などのペナルティーが科されることもあります。

貸倒れは会社経営をしていれば多少なりとも発生してしまいます。
その貸倒れから少しでも資金を回収する知恵は税理士だけではなく、経営者の方も持っておくべきです。
なぜなら売掛先の状況をより把握しているのは税理士よりも経営者の方々だからです。

貸倒損失の根拠条文は法人税法第22条第3項第3号です。
「当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引にかかるもの」と定められています。
とてもシンプルに表現すると「当期に発生した損失ならば経費になります」ということです。

これでは表現が抽象的ですので、法人税法基本通達で3つの類型に分けて貸倒損失となる状況を公表しています。
以下において、その3つの類型をご紹介しますので、貸倒れの予兆を感じたら是非顧問税理士に相談してください。

貸倒損失の3つの類型

  • 法律上の貸倒れ
  • 事実上の貸倒れ
  • 形式上の貸倒れ

法律上の貸倒れ(基通9-6-1)

法律上の貸倒れとは「債権の全部または一部が法的手続きによって切り捨てられた場合」を言います。

法的に債権が消滅するので当然経費になります。
注意すべきは債権が消滅した期に決算または申告書上で適正な処理をせず5年経過してしまうと経費にならないということです。
(更正の請求期限が5年であるため)←過去の間違えを正すための請求

ここで法的手続きとは何?という疑問が湧いてきます。
これも通達において次のように記載されています。

更生計画認可の決定または再生計画認可の決定
特別清算に係る協定の認可の決定
関係者の協議決定
債務者に対する書面による債務免除

これらのうち①から③はあまり発生することがありませんし、発生したとしても債権者である皆さまが当事者として関わっていかなければならないので、処理が失念することはあまりないでしょう。

④の債務免除はたまに使われる方法ですが、そのタイミングには十分気をつけてください。
債務免除の通知さえすれば貸倒損失として認められるというわけではありません。債務免除のタイミングが早すぎれば寄附金と認定され、ほとんど経費に落ちなくなってしまいます。

債務免除による貸倒損失が認められるのは「債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その弁済を受けられないと認められる場合」に限られています。

ここに言う相当期間とは3~5年と言われていますが、これはひとつの目安であって状況次第で変わります。
2年で再起不能なまでに落ち込む売掛先もあれば、6年くらい様子を見ないと判断できない売掛先もあるからです。

そして、債務超過は貸借対照表を時価評価して考えなくてはいけません。
例えば含み益が大きい土地を保有している会社であれば、決算書上は債務超過でも土地を時価評価すれば債務超過ではないことがあるからです。

債務免除をすれば法的に債権は消滅してしまいますので、確実に貸倒損失で落とすために情報収集根拠資料の整備は入念に行いましょう。

事実上の貸倒れ(基通9-6-2)

事実上の貸倒れとは「債務者の資産状況、支払能力等からみて全額が回収できないことが明らかとなった場合」を言います。

これは法的に債権が消滅していなくても、債務者の状況を総合的・客観的にみて明らかに全額が回収できないと判断される場合には、貸倒損失として認めましょうというものです。

これにより貸倒処理するには非常に難しい判断が求められます。

法的には債権が残っているにもかかわらず、全く回収できないことを納税者側が証明しないといけないからです。
督促しても払ってくれないというレベルではいけません。会社が休眠状態であっても難しいでしょう。

債務者が破産して会社自体が消滅してしまったのであれば認められます。
会社消滅の何歩手前までなら貸倒れが認められるのかは状況次第ですが、非常に困難な証明作業となります。

ここにおいて怖いのは、債権未回収で放っておいたらいつの間にか債務者が破産消滅していることです。

貸倒損失を利益操作の道具として使うことは認められないので、原則として会社が消滅した期に貸倒れ処理しなければなりません
これを失念して後になって貸倒処理をすると税務署と要らぬ衝突を招くことになるので、債権が長期未回収になっている取引先については決算時に現状を調査すべきでしょう。

形式上の貸倒れ(基通9-6-3)

形式上の貸倒れとは「債務者との取引停止後1年以上経過したこと」および「同一地域の売掛債権の総額が取立て費用に満たない場合において督促しても弁済がないこと」による貸倒れです。

当該貸倒れの対象になっている債権は継続的な取引を行っている先との債権に限られるので、たまたま行った取引で生じた債権は対象外であることには注意です。

この方法は貸倒損失としては最もよく利用される方法ですが、単に1年経過すれば良い、取立てに行くための費用が債権額より高ければ良いというわけではありません。

未回収の間に回収の努力をしたという証が必要です。
電話で督促したのであれば「電話した日付とその顛末」郵便で督促をしたのであれば「郵送の記録」を残しておかなければなりません。
回収の努力をしなかったことにより生じた未回収状態では、法人税法第22条第3項第3号にいう損失はまだ発生していないと判断されます。

まとめ

上記のように、法人税法は会社の恣意的な利益操作を防ぎ、課税の公平を図るという目的でつくられた法律であるため、利益操作に使われる可能性がある貸倒損失については縛りが強いです。
しかし、貸倒損失にすべきタイミングでは適正に処理をしなければ、会社はさらなる損失を被ることになりかねません。

処理のタイミングが早過ぎても遅過ぎても会社が不利益を受けるのが貸倒損失です。

不利益を防ぐためには、会社と税理士との情報交換が第一です。
貸倒れの3類型のいずれかに該当しそうな予感が少しでもある得意先については顧問税理士に対応を相談してください。

さらに踏み込んだお手伝いが必要なら

当事務所の法人税務支援では、会社の成長に寄与する節税を考え、中・長期的にお客さまのお手もとに最も多く現金が残せるように納税プランニングをいたします。

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