情報発信で実現する「社長も社員も笑顔になれる」節税の新しいカタチ

はじめに:節税って、本当は何のため?
「節税」という言葉を聞いたとき、あなたは真っ先に何を思い浮かべるでしょうか。
多くの方は反射的に「税金を減らすこと」「手元にキャッシュを残すこと」をイメージされるはずです。
もちろん、それは間違いではありません。経営者として、会社の大切な利益を守ろうとする姿勢は必要です。
しかし、ここで少しだけ視点を変えてみませんか。
本当に大切なのは、単に税金を減らすことそのものではなく、「節税によって生まれた資金を何に使い、どうやって会社をより良くしていくか」という未来への投資ではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、これまでのような守りの節税ではありません。
情報発信(コンテンツマーケティング)を活用した、会社の成長と節税の融合です。
これは、経費を賢く使いながら税負担をコントロールし、同時に社長の心の余裕を生み出し、社員のモチベーションを高める方法です。
そんなうまい話があるわけがない、 そう思われるかもしれません。
しかし、これは決して机上の空論ではなく、最新の国のデータや税制改正のトレンドにも合致しています。
社長の表情が、会社の空気を決めている
あなたの会社のオフィス、今日の空気はどうですか?
中小企業の現場において、誰もが肌感覚として理解していることがあります。
それは、社長の機嫌こそが、オフィスの空気を決定づける最大の要因であるということです。
朝、社長が笑顔で「おはよう!」と声をかけてくれる日。
そんな日は、なんだか会社全体が明るく感じられます。
コミュニケーションも活発になり、良いアイデアも生まれやすくなるでしょう。
逆に、社長が朝から眉間に深いシワを寄せ、無言でパソコンの画面を睨みつけている日。
そんな日は、社内全体が重苦しい緊張感に包まれます。
社員たちは「今は話しかけないほうがいいな……」と萎縮し、報告・連絡・相談さえ滞りがちになってしまいます。
資金繰りの不安が、知らず知らずに伝染していく
では、なぜ社長の表情が曇ってしまう日があるのでしょうか。
多くの場合、その根本的な原因はお金の心配にあります。
「今月の資金繰りは大丈夫だろうか」
「来月の売上目標は達成できるだろうか」
「もうすぐ税金の支払い時期が来るけれど、キャッシュは足りるだろうか」
経営者である以上、こうした不安から完全に解放されることはないかもしれません。
しかし、このプレッシャーを一人で抱え込み続けていると、どうしても表情は硬くなり、社員への対応も事務的で冷たいものになってしまいがちです。
そして、社長が発するピリピリとした空気は社内に伝染し、最終的にはお客様へのサービスの質にまで影響してしまいます。
リピーターがいるという安心がもたらす変化
見通しが立つだけで、経営者の心は軽くなる
ここで、少し想像してみてください。
もし、あなたの会社に、毎月確実に商品を購入してくれたり、サービスを利用してくれたりするファンのようなお客様が10社、20社といたらどうでしょうか。
「来月も、あのA社からの注文は確実に見込める」
「メルマガで新サービスを案内すれば、きっとBさんは興味を持ってくれるはずだ」
このように来月の売上の見通しが立っている状態になれば、社長の心に余裕が生まれます。
単に資金繰りの不安が和らぐだけではありません。
今のうちに次の手を打とう、新しい分野に挑戦してみようという、前向きな経営判断を下す心のスペースが生まれてきます。
「情報発信が売上を作る」はデータで証明されている
では、どうやってそのような安定したリピーターを増やしていけばよいのでしょうか。
ここで決定的な役割を果たすのが、今回テーマにしている情報発信です。
「情報発信といっても、本当に効果があるのだろうか?」 と疑問に思う方もいるでしょう。
しかし、これは単なる経験則ではなく、国が発表しているデータによりその効果が証明されています。
中小企業庁が発表した「2024年版 小規模企業白書」によると、自社のホームページやSNS等を活用して積極的に情報発信を行っている事業者は、そうでない事業者に比べて売上が増加傾向にあると回答する割合が明らかに高いという結果が出ています。
また、同白書では、経営環境の情報を収集し、分析・発信している企業ほど、自社の顧客ターゲットが明確になっており、結果として売上の確保につながりやすいことも示されています。
つまり、ブログやSNS、メルマガなどで定期的にお役立ち情報を発信し、お客様との接点を持ち続けることは、現代の経営において売上を安定させるための必須条件になりつつあるということです。
社員のモチベーションを高める承認の効果
お客様からの「ありがとう」が、給料以上のご褒美になる
情報発信に取り組むことのメリットは、売上の安定だけではありません。実は、それ以上に大きなインパクトをもたらすのが社員のモチベーション向上です。
例えば、社内でこんなプロジェクトを立ち上げてみるのはいかがでしょうか。
営業担当の田中さんが、日々の営業活動で気づいたことを月1回コラムにする。
経理の佐藤さんが、お客様向けに、知って得する経理の豆知識を動画で解説する。
技術の山田さんが、製品のメンテナンスのコツをメルマガで紹介する。
社員が自分の言葉で情報を発信し始めると、次のような変化が起こり始めます。
働きがいが生産性を高めるという事実
「田中さんの記事、すごく勉強になりました!」
「佐藤さんの動画のおかげで、業務がスムーズになりました!」
「山田さんのアドバイス通りにしたら、機械の調子が良くなりました!」
お客様から、社員一人ひとりに対して、感謝の声が届くようになります。
これまで会社という組織の歯車として働いている感覚だった社員が、お客様から名前で呼ばれ、頼りにされ、感謝される。
このお客様から承認される経験は、どんな高額な研修よりも社員の自信とやる気を引き出します。
厚生労働省の「令和6年版 労働経済の分析」によると、従業員が働きがいを感じている企業ほど、労働生産性が高い傾向にあることが明らかになっています。
近年、人手不足は深刻な社会問題となっていますが、同分析では、賃金などの待遇だけでなく、仕事のやりがいや働きやすさを高めることが、人材の確保と業績向上の両面で不可欠であると結論づけています。
情報発信を通じて、社員が自分の仕事に誇りを持ち、お客様とのつながりを感じることは、この働きがいを醸成する最高の手段です。
社員が生き生きと働けば、オフィスの雰囲気は明るくなり、生産性は上がり、結果として会社の利益も増えていく。
そんな好循環が生まれます。
お金を使って、お金を増やす賢い節税の考え方
経費が投資に変わり、さらに税金も減る仕組み
ここまで読んで、「情報発信の重要性はわかった。でも、それにはコストがかかる」と思われた方もいるでしょう。
おっしゃる通りです。本格的に情報発信を行おうとすれば、当然お金がかかります。
・社員が記事を書くためのライティング講座の受講料
・動画撮影や編集を学ぶための研修費
・メルマガ配信スタンドやWebサイトの改修費
・撮影用のカメラや編集用の高性能パソコンの購入費
これらの支出はすべて会社の経費になりますが、ただ利益を減らして税金を安くするだけではありません。
国の最新の税制優遇措置をフル活用することで、投資した金額以上のお金を回収する可能性を高めることができます。
人への投資を国が強力にバックアップしている
まず注目すべきは、2024年4月から拡充された賃上げ促進税制です。
この制度、名前から昇給に対する優遇税制と思われがちですが、実は教育訓練費も重要な要素になっています。
中小企業の場合、教育訓練費を前年度より5%以上増やして一定の要件を満たすと、給与等の支給増加額の最大45%を法人税から控除できる仕組みがあります。
つまり、社員が情報発信のスキルを身につけるための研修費やセミナー代にお金を使うことは、社員の成長を促すだけでなく、支払う税金を直接減らすことにもつながります。
今日から始められる「社員巻き込み型」情報発信の進め方
まずは小さな一歩から始めてみましょう
最初からプロのような完璧な発信を目指す必要はありません。むしろ、手作り感のある温かい発信の方が、お客様の心に響きます。
以下のステップで、無理なく始めてみてください。
ステップ1:発信する場所を決める
まずは、既存のお客様が普段目にしている媒体を選びましょう。
高齢のお客様が多いならニュースレターの郵送、ビジネス層ならメルマガやFacebook、若年層向けならInstagramやYouTubeショートなど。
大切なのはお客様がいる場所で発信することです。
ステップ2:得意分野を活かした役割分担
社員一人ひとりの「好き」や「得意」を聞いてみましょう。
文章を書くのが苦にならない人、お喋りが好きな人、写真撮影が趣味の人。
裏方作業が性格に合う人、表に出ることが好きな人
それぞれの強みを活かせる役割を与えることで、業務としてではなく楽しみとして取り組める設計にしましょう。
ステップ3:月1本から始める無理のないペース
張り切りすぎて最初から毎日更新などを掲げると、すぐに息切れしてしまいます。
まずは「月に1本のコラム」「2週間に1回の写真投稿」など、絶対に継続できる低いハードルからスタートしましょう。
継続こそが信頼を生む最大の鍵です。
ステップ4:予算化して仕事として扱う
ここが重要です。情報発信を空いた時間にやるボランティアにしてはいけません。
しっかりと予算を組み、業務時間内に作業する時間を確保し、外部講師を招くなどの教育投資を行ってください。
会社がこれは大切な仕事だという姿勢を見せることで、社員の取り組む姿勢が変わります。
ステップ5:成果を共有して、みんなで喜ぶ
「ブログを見て問い合わせが来たよ!」「動画の再生数が100回を超えたよ!」 こうした小さな成果は、必ず朝礼や社内チャットで全社員に共有しましょう。
みんなで喜びを分かち合うことで、チームとしての一体感が生まれ、次の発信へのモチベーションにつながります。
おわりに:本当の意味での豊かな経営を目指して
節税の先にある理想の会社の姿
ここまで、情報発信を活用した会社成長と節税の方法についてご紹介してきました。
この方法の良い点は、税金を減らすことがゴールではなく、その先に社長も社員も幸せになる未来があるということです。
社長は、リピーターが増えることで資金繰りの不安から解放され、笑顔で朝の挨拶ができるようになる。
社員は、会社からの教育投資によってスキルを磨き、お客様からの感謝を受け取ることで、仕事に誇りとやりがいを感じるようになる。
そして、そんな活気あふれる会社の雰囲気が、さらなるお客様を引き寄せる。
これこそが、本当の意味での豊かな経営ではないでしょうか。
投資としての節税という発想
節税は、どうしても守りの発想になりがちです。
いかに手元のキャッシュを守るか、いかに国に払う分を減らすかという発想です。
ここに未来を切り拓くための投資としての節税という発想を加えてみましょう。
会社の成長エンジンである情報発信と人材育成に投資し、その投資で節税を実現する。
そして、その投資がさらなる売上と利益を生み出し、より強固な経営基盤を作っていく。
そんな成長の好循環を生むことができるのが投資としての節税です。
最初の一歩は小さくても構いません。
まずは、情報発信で会社を変えると決めることから始めてみてください。

