ランチェスター×節税戦略で、税金を払いながらお金を増やす会社へ

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頑張っているのに、なぜかお金が残らないという悩み

売上は順調に伸びている。税金対策もそれなりにやっている。
なのに、通帳を見るとなぜかお金が増えていない……。

中小企業の経営者の方から、こうしたご相談をいただくことが多いです。

決して手を抜いているわけではない。それなのに、期末に通帳を眺めると思ったほど残っていない。そんな経験はないでしょうか。

私は税理士として多くの会社を見てきましたが、この状態には共通したパターンがあります。
それは、売上や節税という言葉に振り回されて、本当に大切なキャッシュ、つまり手元のお金を増やす設計ができていないということです。

今回は、この問題を解決するための考え方として、ランチェスター戦略とお金を生む節税という2つの視点をご紹介します。

ランチェスター戦略は精神論ではなく数学である

ランチェスター戦略という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
ビジネス書でよく取り上げられるこの理論ですが、実はその起源は軍事数理モデルにあります。

1916年、イギリスのエンジニアであるF.W.ランチェスターが、戦闘における損耗、つまり兵力がどのように減っていくかを数式で表した論文を発表しました。
これがランチェスターの法則と呼ばれるものです。

ここで重要なのは、この理論が根性論や精神論ではなく、数学的な証明に基づいているという点です。

ランチェスターの法則には2つのパターンがあります。

1つ目は第1法則と呼ばれるもので、一騎打ちの戦いに適用されます。
狭い場所で1対1の戦いが繰り返される状況です。
この場合、戦闘力は兵力の数と武器の性能をかけ合わせたもので決まります

2つ目は第2法則で、こちらは広い場所で多数対多数が一斉に戦う状況に適用されます。
銃や航空機を使った近代戦のイメージです。
この場合、戦闘力は兵力の数の2乗と武器の性能をかけ合わせたもので決まります

この2乗というのが厄介です。
たとえば、相手の兵力が自分の2倍だとすると、戦闘力の差は2倍ではなく4倍になります。3倍の兵力差なら9倍です。

これをビジネスに置き換えると、資本力で勝る大企業と同じ土俵で戦った場合、中小企業は圧倒的に不利な状況に置かれるということが、数学的に証明されているのです。

弱者は戦う場所を選ばなければならない

ランチェスター戦略の出発点は、自社を弱者として認識することです。
市場シェア1位の企業だけが強者であり、2位以下はすべて弱者です。
この厳しい定義を受け入れるところから話が始まります。

弱者であること自体は恥ずかしいことではありません。問題なのは、弱者なのに強者と同じ戦い方をしてしまうことです。

広いエリアに手を広げる。
誰でもいいからお客様を取りにいく。
価格を下げて勝負する。
大量の広告を打つ……。

こうした戦い方は、先ほどの第2法則が働く場での戦いです。
資本力の差がそのまま結果に反映されてしまいます。
中小企業がここで戦うと、頑張っても頑張っても疲れるだけでお金が残らない、という状態に陥ります。

では、弱者はどうすればいいのか。

答えは、戦いのルールを変えることです。
第2法則が働く広い市場ではなく、第1法則が働く狭い市場で戦う
市場を細かく分けて、競合と1対1に近い状況を作り出すなどです。


中小企業の限られた資源をどこに集中すれば最大の効果が得られるか。その答えが、市場の細分化と一点集中です。

小さくてもいいからナンバーワンになる

ランチェスター戦略が教えてくれるのは、小さな市場でいいからそこで1位を取れというシンプルな原則です。

経済産業省のグローバルニッチトップ企業に関する調査では、特定の市場で高いシェアを持つ企業は、平均的な企業に比べて営業利益率が高い傾向にあることが確認されています。

また、日本政策金融公庫の調査でも、業績が好調な中小企業ほど特定のターゲット層への絞り込みや他社との差別化を行っている割合が高いというデータが出ています。

このように、公的な調査データでも、ランチェスター戦略の有効性が裏付けられています。

難しいシェアの数字を覚える必要はありません。感覚的には、こう考えてみてください。

この地域のお客様なら、まずうちに声がかかる。
この商品カテゴリーなら、真っ先にうちの名前が挙がる。

そう胸を張って言える領域があるか。

その領域を作り、育てていくことが、弱者の勝ち方です。

節税したのにお金が減っているという不思議

ここで節税の話に移ります。

税金を払うくらいなら、何かに使ってしまおう。

決算が近づくと、こんな気持ちになる経営者の方は少なくありません。
決算間際に保険に入ったり、リース契約を結んだり、設備を導入したりするケースはよく見かけます。

しかし正直に申し上げると、こうした駆け込みの支出の多くは節税ではなく浪費になってしまっています。

節税という言葉の本来の意味を考えてみてください。
節税とは、納める税金を減らして手元に残るお金を増やすことです。
税金が減っても、それ以上にお金が出ていってしまったら本末転倒です。

100万円の利益に対して30万円の税金を払う場合、手元には70万円が残ります。
一方、税金を減らそうと100万円を経費として使い切ってしまったら、税金はゼロになりますが手元に残るお金もゼロです。

税金が減ったことと、お金が増えたことはイコールではない
この当たり前のことが、税金を敵視するあまりに忘れられがちです。

お金を生む節税という発想

では、本当の意味での節税とは何でしょうか。

私がお客様に経費の使い方を相談されたとき、お聞きすることがあります。

その支出は、来期以降に、使った金額以上のお金を生み出しますか?

この問いに「はい」と答えられるものだけが、私が考えるお金を生む節税です。

・業務効率を上げる設備への投資
・社員のスキルを高める研修費用
・将来の売上につながる販促活動

こうした支出は、今期は経費として税金を減らしながら、来期以降にはそれ以上のリターンをもたらしてくれます。

今期の支出が種まきであり、来期以降に収穫できる
この構造が設計されている支出こそが、本当の意味での節税です。

とりあえず経費で落ちるからという理由だけで行う支出は、税務上は経費でも経営的には浪費です。

一点集中とお金を生む節税は同じ思考回路

ランチェスター戦略の核心は一点集中です。
やらないことを決めて、浮いたお金と人と時間を勝てる市場に集中させる。

お金を生む節税もまったく同じ発想で考えます。

今年は保険がいいと言われたから保険に入った。
翌年はリースを勧められたからリース契約を結んだ。
その次はよく分からない金融商品を紹介された。

営業マンに勧められるままにあれこれ契約を重ねていく。

これは戦力の分散そのものです。
ランチェスター戦略で言うところの攻略中のエリアを放置してあちこちに手を出してしまっている状態です。

本来あるべき順番はこうです。
・まず自社の利益構造と勝ち筋を明確にする。
・どの市場でシェア1位を目指すのかを決める。
・次に、その戦略に直結する投資にお金を集中させる。
・そのうえで、その投資に使える税制優遇や節税テクニックを活用する。

事業戦略が先にあって、節税は後からついてくる。
この順番を間違えると、いろいろやっているのにお金が減る一方という状態に陥りやすいのです。

お金が残る事業構造がゴール

私は、中小企業の経営者が意識すべき指標を次のように整理しています。

まず、売上よりもシェアを見る。
売上の金額だけを追いかけるのではなく、どの市場でどのくらいのシェアを持っているかを考えます。
小さくてもいいので、ナンバーワンを取れているテリトリーがあるか

次に、シェアよりも利益を見る。
シェアを取っていても、安売りで利益が出ていなければ意味がありません。

そして、利益よりもキャッシュを見る。
決算書の利益と実際の通帳残高は必ずしも一致しません。
税金を払った後でも、しっかりとお金が残る構造になっているか。ここが最終的なゴールです。

今日からできる2つのこと

最後に、すぐに始められる具体的なアクションを2つご紹介します。

1つ目は、やめることリストをつくることです。

利益率が低い商品やサービス
手間がかかるわりに利益が出ない取引
なんとなく続けている広告やイベント

これらを書き出して、やめる候補として並べてみてください。
そうすることで自然とどこに集中すべきかが見えてきます。

2つ目は、支出を決める前に4つの質問を自分に投げかけることです。

この支出は将来キャッシュを生み出すか。
生産性や利益率の向上につながるか。
資金繰りを悪化させないか。
自社の経営戦略と一貫しているか。

この4つにすべて「はい」と言えるものだけにお金を使う習慣をつけてください。
これは節税という名のもとの浪費を防ぐ効果があります。

税金を払いながらお金を増やす会社へ

私は税金をゼロにすることをお勧めしているわけではありません。
むしろ、適正に税金を払いながら、それでも通帳残高がしっかり増えていく。
そんな会社を一緒につくっていきたいと考えています。

そのための軸が、ランチェスター戦略とお金を生む節税の組み合わせです。

頑張っているのにお金が残らないという悩みを抱えていらっしゃるなら、ぜひ今回お話しした視点で自社の経営を見直してみてください。

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わかお税理士
税理士(税理士登録番号:140275)、国際認証MBA(経営学修士)、ファイナンシャル・プランナー

20年以上の実務経験の中で、上場企業から中小零細企業まで100数十名の社長の経営・税務・資産形成を継続的に支援。
もっと会社にお金を残したい社長へ。利益最大化と合理的節税で通帳残高を増やす、ご機嫌な未来志向の経営をサポートしています

【執筆税務論文】
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