「100円の値上げで客が離れる店」と「1万円でも感謝される店」の違いとは

原材料費の高騰、エネルギー価格の上昇、そして人件費の増加。
経営者の皆様にとって、値上げという課題は避けて通れないものになっています。

ただ、多くの社長さんからこんな声をいただきます。

「値上げが必要なのは分かっています。でも、値上げするとお客さんが離れてしまうんです」
「競合他社が安売りしている中で、ウチだけ高くするのは無理ですよ」

おっしゃる通りだと思います。
今の市場環境で、真正面から価格を上げるのは至難の業でしょう。

今回は、マーケティングと税理士としての知見をかけあわせた客単価アップの方法をお伝えします。
商品の原価をほとんど変えずに単価を2倍、3倍に引き上げながら、お客様から感謝される方法です。

目次

個人の生活費と会社の経費では、お金に対する感覚が違います

まず、現実を直視してみましょう。
御社のお客様が個人のお小遣いや日常生活費からお金を出している限り、価格競争からは逃れられません。

個人の財布というのは、非常にシビアにできています。
ランチが800円か900円か、スーパーの卵が10円高いか安いか。
消費者は自分の生活を守るために価格を比較します。
ここで勝負するのは、大資本のチェーン店と真正面から戦うようなもので、中小企業には分が悪い戦いになります。

しかし、世の中には価格に鈍感な財布というものが存在します。
それが、企業の経費です。

私は税理士ですから、企業の支出行動を裏側から見ています。
社長や部長が会社の経費を使うとき、彼らは10円や20円の違いを気にするでしょうか?
ほとんど気にしていません。
彼らが重視するのは安さではなく、その支出が目的を果たせるかどうか、失敗しないかどうかという点です。

個人の財布を使うときは、1円でも安く買いたいという節約志向が基本になります。
一方、会社の財布を使うときは、効果があるなら高くてもいいという投資志向に変わります。

高収益を上げている中小企業の多くは会社の財布、つまり経費という領域で収益を上げています。

同じ商品でも使い道を変えれば単価は跳ね上がります

私はリピート売上を縦・横・奥の3次元で捉えています。
単価アップに直結するのが縦の軸、つまり異経験リピートと呼ばれるものです。

これは、同じ商品をこれまでとは異なる目的や用途で販売するという考え方です。
多くの社長さんは、商品を横方向のリピートでしか売ろうとしていません。
朝食用のパンを売ったお客様に、また朝食用のパンを売る。
これではなかなか単価は上がりません。

しかし、縦にスライドさせてみたらどうでしょうか。
朝食用のパンを、取引先への手土産として提案してみるのです。

自分でお腹を満たすためのパンなら、300円でも高いと感じるかもしれません。
しかし、大事な商談の手土産という位置づけになった瞬間、比較対象が変わります。
比較対象は、コンビニのパンではなく、百貨店の高級菓子折りになるのです。

すると「1斤1000円の高級食パン。手土産にしては随分とリーズナブルなのに、話題性があって気が利いているな」という評価に変わります。

これが縦のリピートの威力です。
商品の原価は同じでも、適用される勘定科目が個人の食費から会社の交際費に変わった瞬間、価格の壁がなくなります。

業種別に見る勘定科目シフトの具体例

では、具体的にどのように勘定科目をシフトさせればよいのでしょうか。
御社の業種に近いものがあれば、参考にしてみてください。

街のパン屋さんの場合

従来は近所の主婦向けに朝食用のクロワッサンを200円で販売していました。
競合はスーパーやコンビニで、小麦粉の値上がりを価格に転嫁できないのが悩みでした。

これを縦にシフトさせます。
近隣のオフィス向けに、会議用ランチBOXや残業時の差し入れセットとして販売するのです。
勘定科目は会議費や福利厚生費となり、価格は1人前1500円から2000円に設定できます。

企業の担当者が重視するのは、会議の参加者が満足するかどうか、配送してくれるかどうかという点です。
中身はいつものパンの詰め合わせでも、単価と利益率は向上します。

居酒屋さんの場合

従来は仕事帰りのサラリーマン向けに晩酌セットを1500円で提供していました。
競合は大手チェーン居酒屋で、客単価が伸びず回転率に頼らざるを得ない状況でした。

これを縦にシフトさせます。
企業の歓送迎会プランや接待専用コースを強化するのです。
勘定科目は接待交際費や福利厚生費となり、価格は1人6000円から10000円に設定できます。

幹事さんが最も恐れているのは、失敗することです。
個室確約、飲み放題の銘柄指定、領収書の対応。
これらが揃っていれば、料理の原価が同じでも高単価なコースが選ばれます。
売っているのは料理ではなく、場所と安心感だと考えてみてください。

文房具・雑貨店の場合

従来は学生や個人向けにボールペンやノートを販売していました。
競合はAmazonや100円ショップで、価格では太刀打ちできない状況でした。

これを縦にシフトさせます。
企業向けにノベルティや周年記念品として提案するのです。
勘定科目は広告宣伝費や販売促進費となり、価格は数万円から大口受注なら数百万円にもなります。

会社はお金を使いたがっているという事実

多くの経営者は会社はケチなものだと思っていますが、それは半分正解で半分間違いです。

利益が出ている会社は、有効な使い道を探しています。
特に決算期末には、税金で取られるくらいなら来期のために経費を使っておきたいという心理が働きます。

従業員のモチベーションを上げたいから福利厚生費を使いたい。
取引先との関係を深めたいから交際費を使いたい。
会社の知名度を上げたいから広告宣伝費を使いたい。

これらのニーズに御社の商品を当てはめることができれば、セールスのハードルは下がります。
なぜなら、相手は買う理由を探している状態だからです。

相手の決算書の中に、御社の商品が入る枠を見つけてあげること。
これが高単価を実現するためのポイントです。

安売りは経営においてはリスクです

自信のある商品を安く売ることは、美徳ではありません。
経営においてはむしろリスクに近い行為です。

利益が出なければ従業員の給料も上げられず、次の投資もできず、事業を拡大して社会に貢献することもできないからです。
安売り競争で疲弊している経営者の姿を見るのは、税理士として辛いものがあります。

御社の商品には価値があります。
その価値を、高く評価してくれる財布に向けて差し出してください。

個人の100円を奪い合う市場から、企業の10000円が動く市場へ戦う場所をズラしてみましょう。
これが、中小企業が生き残るための賢い単価アップ戦略だと私は考えています。

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わかお税理士
税理士(税理士登録番号:140275)、国際認証MBA(経営学修士)、ファイナンシャル・プランナー

20年以上の実務経験の中で、上場企業から中小零細企業まで100数十名の社長の経営・税務・資産形成を継続的に支援。
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