経営者の先延ばし癖が会社の資金繰りを悪化させる?強制的に変える仕組みの作り方

「経費削減しなきゃとは思っている。でも後回し…」
「粗利率を見直したいが、日々の業務に追われて手がつかない」
「やらなきゃいけないことは山ほどある。けど、疲れて先延ばし…」

経営者であれば、誰でもやるべきことは分かっているのに動けないという壁にぶつかることがあります。
私もよくあります。

しかし、その先延ばしが、
資金繰りの悪化や、利益を圧迫する原因になっているケースも少なくありません。

今回は、「意志力」ではなく「仕組み」で行動を変える方法、つまり、先延ばしを防ぐ強制力のある経営設計についてお伝えします。

目次

そもそも、なぜ人は「わかっていても動けない」のか?

まず大前提として、あなたの意思が弱いわけではありません。

行動経済学では、人はそもそも「短期的な快楽」を優先し、「長期的な得」は後回しにしがちだとされています。

たとえば:

  • 今すぐ利益にならない定期的な情報発信活動 → 後回し
  • 経営数字管理の仕組みの整備 → 面倒だから後回し
  • 契約の見直し交渉 → ストレスがかかるので後回し

これは誰にでも起きる脳の仕組みなので、根性論では解決しません。

解決には、「仕組みで自分を動かす」ことが必要です。

行動を変えるための3つの戦略

ここからは、経営者が「やるべきことを確実に実行できるようにする」ための
3つの戦略を具体的にご紹介します。

外部からの強制力を活用する

人は「自分で決めたルール」より、「他人に見られるルール」の方が守ります。

これは心理学で言う「観察される効果」です。

具体例

  • 毎月◯日に、数字の報告を外部の専門家(税理士、コンサルタント、パートナー)に送る仕組みをつくる
  • 幹部社員と一緒に「今月の利益改善目標」を掲げ、週次で共有する場を設ける
  • SNSやブログで「来月から〇〇を始めます」と発信して、引き返せない空気をつくる

ポイントは、「誰かに宣言すること」です。
恥ずかしくても、背水の陣をつくると人は動きます。

タスクをパッケージ化して意思決定を減らす

やらなきゃいけないことが多いと、脳は疲れて思考を停止します。
だから、「どれから手をつければいいか分からない」となって、結局は何もしないということになります。

そんな時は、何をするのか細かく悩む必要のない定型パックにするのが効果的です。

具体例

  • 「経費見直しDAY」を毎月第1月曜と決めて、検討項目は定型化する
  • 「粗利率チェック」「売上内訳確認」を毎週木曜の始業後30分間に固定する
  • 年1回の契約更新やサブスク見直しなどを「経営メンテナンス月間」として固定する(例:3月)

要は、「いつ何をするかをあらかじめ決めておき、自動的に動ける環境をつくる」ということです。

行動の見返りを明確にする(ご褒美作戦)

「やらなきゃいけないこと」は、基本的に面倒なことばかりです。
でも、人は面倒なことでも、目の前にご褒美があれば行動する性質を持っています。

具体例

  • 数字を整理したら、午後は休んで温泉に行く
  • 不要なサービスを3つ解約できたら、カフェで贅沢メニューを注文して自分時間を取る
  • 会費型サービスを新たに立ち上げたら、翌月は休日を1日増やす

こうした行動とご褒美をペアにすると、意外とすんなり動けたりします。

重要なのは、ご褒美の大きさではなく、「すぐに」「確実に」ご褒美がもらえるようにすることです。

自分の未来の姿を可視化すると行動が加速する

人は「今の自分」には甘く、「未来の自分」には厳しくしがちです。

「あとでやろう」
「来月こそやる」

そう言い続けて、半年経ってしまう…というのは、誰にでもあることです。

対策

未来の自分と変化の実績を可視化しておくことが効果的です。

  • 「このまま先延ばしを続けたら、半年後の資金繰りはどうなるか?」を数字で見る(簡易資金繰り表)
  • 「やった場合」と「やらなかった場合」の業績推移を2通りグラフ化する
  • 毎月の売上・粗利・固定費を見える化して、「変化の手応え」を感じられるようにする

目に見えることで、未来が現実感を持ち始め、今の行動が変わっていきます。
変化の手ごたえが見えることで継続するモチベーションが生まれます。

行動できる経営者は、仕組みで自分を動かしている

大きな成果を出している経営者は、モチベーションが高いだけではなく、
自分をうまく動かせる環境を作っています。

意志の強さではなく、

  • 毎週のルーティンを固定している
  • 必ず相談できる人がいる
  • 仕組みとして動けるように業務をパッケージ化している

そんな行動設計を整えています。

まとめ:やる気が出ないときこそ、「仕組み」で動かす

やらなきゃ…
でも面倒くさい…
そう思ったら、それはあなたが怠けているのではなく、設計が未整備なだけです。

「動ける自分」に戻すために、以下の工夫を試してみてください。

今すぐできるアクション

  1. やるべきことを誰かに宣言する(SNSでもOK)
  2. 定型業務を日付固定パックにする(毎週◯曜◯時)
  3. 面倒なタスクにご褒美をセットする
  4. 未来の姿(やらなかった場合・やった場合)を可視化する

先延ばしは「気合い」では治りません。
でも「仕組み」なら変えられます。
今、動ける工夫をして、未来の安心と利益を守りましょう。

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わかお税理士
税理士(税理士登録番号:140275)、国際認証MBA(経営学修士)、ファイナンシャル・プランナー

20年以上の実務経験の中で、上場企業から中小零細企業まで100数十名の社長の経営・税務・資産形成を継続的にサポート。
「節税は手段であって目的ではない」をモットーとし、中長期的に会社の健全な成長に貢献する節税策のみを提案している。

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組織再編税制に係る行為計算否認規定の解釈とその適用

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