一度買ってくれたお客様が戻ってこない本当の理由、商品の質だけでは足りないもの

こんなお悩みをお持ちではありませんか。

「ウチの商品は品質に自信がある。一度使ってもらえれば、きっとリピートしてもらえるはず」
「味には絶対の自信がある。また食べに来てくれるに違いない」

正直に申し上げると、こうした考え方には少し危うさがあると感じています。

私はこれまで、素晴らしい技術力を持っているのに資金繰りに苦しむ製造業や、味は美味しいのに閉店を余儀なくされた飲食店を何度も見てきました。
共通していたのは、リピートの仕組みづくりまで手が回っていなかったことです。

目次

リピートには設計が必要

商品の良さだけでリピートを継続するには限界があります。
人の心理には損失回避性という性質があるからです。
お客様は「あっちの店の方が良いのでは?」と意識的にせよ無意識にせよ乗り換え先を探しています。

リピートには、横・縦・奥という3つの方向性があります。
売上が安定しない会社の多くは横しか見ていません。
一方、しっかりと利益を積み上げている会社は、縦と奥を上手に商品設計へ組み込んでいます。

今回は、税理士という立場から見えてきたリピートの3次元構造について、できるだけわかりやすくお伝えします。

横のリピート:同じ商品をまた買ってもらう

最も基本的なリピートから見ていきましょう。
横の軸は、同じ商品を同じ目的で繰り返し買っていただくことを指します。

お気に入りのラーメン屋でいつものラーメンを頼む。
いつもの美容室でいつものカットをお願いする。
多くの経営者さんがイメージするリピート対策は、この横軸の強化に集中しがちです。

もちろん大切な取り組みですが、これだけではお客様の流出を防ぐことは難しいのが現実です。

人間の脳は新しい刺激を求めるようにできています。
どれだけ美味しいラーメンでも毎日食べれば飽きてしまいます。
競合他社が新商品を出した、ライバル店に行列ができている。
そんな情報に触れた瞬間、お客様は「一度あっちを試してみよう」と考えてしまいます。

試した結果、気に入れば簡単にリピーターはそちらに流れていきます。

リピーター維持のため、値下げや過剰サービスの沼にはまっていくパターンは非常に多いです。

縦のリピート:同じ商品を違う目的で買ってもらう

2つ目の方向性が縦の軸です。
これは同じ商品を、これまでとは異なる目的やシチュエーションで提案する方法になります。
商品を変える必要はありません。変えるのは、お客様にとっての使用目的です。

パン屋さんで考えてみましょう。
Aさんは毎週土曜日に朝食用としてパンを買いに来てくださいます。
ここで店内にこんなPOPが貼ってあったらどうでしょうか?

「職場への差し入れに、個包装のデニッシュはいかがですか?」

商品は同じパンです。でもAさんの中での意味が大きく変わります。
朝食という日常の食費から、職場への差し入れへと、目的が縦方向に移動します。

税理士として強調したいのは、目的が変わるとお客様の価格への感覚も一変することです。
自分用なら300円でも悩むお菓子が、お世話になった方への手土産なら3000円でも即決できます。

縦方向に利用シーンを広げることで、お客様一人あたりの購入単価は上がっていきます。

奥のリピート:時間の流れに沿って次の商品を提案する

最も強力なリピート設計が、3つ目の奥の軸です。
Aを買った後には自然とBが必要になる、という時間の流れに沿ったニーズの連鎖をあらかじめ設計しておくことを指します。

多くの経営者さんは商品を点として売っています。
しかし、継続的に利益を上げている経営者さんは、商品を線として捉えています。

秘訣は、お客様が商品を買った後にどんな行動をするかを観察することです。

高級な食パンを買ったお客様の行動は食べることです。
では美味しく食べるために何が必要でしょうか。
パン切り包丁、こだわりのバター、パンに合うコーヒー、専用保存容器。
これらは、パンを買った瞬間に発生している未来のニーズです。

この連鎖を5段階くらいまで深掘りして設計してみてください。
テレビを買う、ブルーレイレコーダーを買う、サウンドバーを買う、リクライニングチェアを買う、調光機能付きライトを買う。

ここまで取引が深まると「この店に任せておけば大丈夫」という深い信頼感が生まれてきます。
他店に行こうとすれば、また一から関係を作り直さなければなりません。
御社以外は考えられないという状態が完成するのです。

明日から使える2つの実践テクニック

物販とサービスを交互に配置する

リピートの連鎖を作る際、物とサービスを交互に配置するのが効果的です。

コーヒー豆店なら、まずコーヒー豆を販売し、次に美味しい淹れ方講座を開催します。
講座でスキルを学んだお客様は良い道具が欲しくなります。
そこでプロ用のケトルやミルを販売し、さらに体験会へご案内していきます。
参加費をいただきながら商品の魅力を伝えられる、効率の良い仕組みです。

次につながる商品だけを売る

少し極端ですが、次につながる提案が設計できていない商品は見直した方がいいかもしれません。
単発で終わる商品は、よほど利益率が高い商品でなければ、お客様獲得コストを回収して終わりになりがちです。
本当に利益が出るのは2回目、3回目以降の購入からになります。

御社の商品には、次につながる流れが描けていますか。

良い商品を、きちんと利益に変えていく

最後に一つ。
リピートの3次元構造を作ることは、顧客データという見えない資産を積み上げる行為でもあります。
いつ、どんな目的で、どんな順番で購入してくださったか。
このデータがあれば精度の高い販売促進が可能になります。

良い商品を作ることは本当に素晴らしいことです。
ただ、その良い商品を売りっぱなしにして、得られるはずの利益を逃してしまうのは少しもったいないのではないでしょうか。

横:飽きさせない工夫はできているか。
縦:違う用途を提案できているか。
奥:次の行動を先回りできているか。

この3つの視点で自社の商品を見直してみてください。
きっと、まだ取りこぼしている利益が見つかるはずです。

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わかお税理士
税理士(税理士登録番号:140275)、国際認証MBA(経営学修士)、ファイナンシャル・プランナー

20年以上の実務経験の中で、上場企業から中小零細企業まで100数十名の社長の経営・税務・資産形成を継続的に支援。
もっと会社にお金を残したい社長へ。利益最大化と合理的節税で通帳残高を増やす、ご機嫌な未来志向の経営をサポートしています

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